16:45 〜 17:00
[SSS28-17] 海底地震計記録に見られる海水層の影響
キーワード:地震波伝播、海水、コーダ波、地震動計算
近年,海域を伝播する地震動への海水層や海底堆積物の影響が報告されている(例えば,Noguchi et al. 2013; Maeda et al., 2014; Nakamura et al. 2015).しかし,地震動への海水層の影響は未だ未知な点が多く,S-netやDONETなどの海底地震計の記録を有効に活用するためには,海域における地震波動伝播特性の把握が必要不可欠である.本研究では,海水層を含んだ地震動シミュレーションを行い,海底地震計記録に含まれる海水層の影響を調べた.
関東を中心とした512×512×128 km3の計算領域を水平方向0.1 kmおよび鉛直方向0.05 kmで離散化し,3次元差分法により地震波動伝播を評価した.地震波速度構造モデルとして全国一次地下構造モデル(Koketsu et al., 2012),震源モデルとしてF-net CMT解を用いた.最小S波速度を0.9 km/sとし,0.01-1 Hzまでの広帯域地震波動場を評価した.このような計算条件において,2005年7月23日に発生した千葉県北西部の地震(Mw 6.8)の地震動シミュレーションを行ったところ,計算波形は陸域および海域の観測波形を概ね再現しており,使用した震源および地震波速度構造モデルの妥当性が確認された.
次に,海底地震計記録に含まれる海水層の影響を明らかにするため,海水を仮定しないモデルについても地震動シミュレーションを行い,海域においてシミュレーション結果同士を比較した.シミュレーション結果を比較すると,解析した全ての周波数帯において,水平動に大きな違いが現れないのに対し,上下動では顕著な違いが見られた.特に直達波到来後のコーダ波部分において,海水による振幅の増幅や継続時間の増大を確認した.水平動ではS波が卓越しているため,海水の影響をほとんど受けないと考えられる.一方で,上下動ではP波またはRayleigh波が卓越するため,海水の影響をうけやすいと考えられる.
謝辞
数値シミュレーションには海洋研究開発機構の地球シミュレータを使用しました。
関東を中心とした512×512×128 km3の計算領域を水平方向0.1 kmおよび鉛直方向0.05 kmで離散化し,3次元差分法により地震波動伝播を評価した.地震波速度構造モデルとして全国一次地下構造モデル(Koketsu et al., 2012),震源モデルとしてF-net CMT解を用いた.最小S波速度を0.9 km/sとし,0.01-1 Hzまでの広帯域地震波動場を評価した.このような計算条件において,2005年7月23日に発生した千葉県北西部の地震(Mw 6.8)の地震動シミュレーションを行ったところ,計算波形は陸域および海域の観測波形を概ね再現しており,使用した震源および地震波速度構造モデルの妥当性が確認された.
次に,海底地震計記録に含まれる海水層の影響を明らかにするため,海水を仮定しないモデルについても地震動シミュレーションを行い,海域においてシミュレーション結果同士を比較した.シミュレーション結果を比較すると,解析した全ての周波数帯において,水平動に大きな違いが現れないのに対し,上下動では顕著な違いが見られた.特に直達波到来後のコーダ波部分において,海水による振幅の増幅や継続時間の増大を確認した.水平動ではS波が卓越しているため,海水の影響をほとんど受けないと考えられる.一方で,上下動ではP波またはRayleigh波が卓越するため,海水の影響をうけやすいと考えられる.
謝辞
数値シミュレーションには海洋研究開発機構の地球シミュレータを使用しました。