日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS28] 地震波伝播:理論と応用

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*西田 究(東京大学地震研究所)、中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)、松島 潤(東京大学大学院)、齊藤 竜彦(独立行政法人 防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[SSS28-P16] 2015年11月24日にペルーで発生した2個の深発地震の日本における波形の特徴

*関根 秀太郎1津村 建四朗1 (1.地震予知総合研究振興会)

キーワード:シャドーゾーン、深発地震

2015年11月24日22時45分38秒と50分53秒(UTC)にブラジルとチリの国境付近の深さ600km付近において2回の地震が相次いで発生した.USGSによれば2回の地震ともMw 7.6の地震であり,メカニズム解も正断層型でほぼ似たような地震であった.
この2つの深発地震は日本全国で観測されているが,その観測波形を並べて見てみると,一つ目の地震と二つ目の地震において最大振幅比が一定ではなく,0.5倍から2倍程度のばらつきが生じていた.メカニズム解とマグニチュードがほぼ同じである2つの地震においてこのように大きなばらつきがあるのが不思議だった為,どこに原因があるかを探ることにした.
この二つの震源から見て,日本の観測網は角距離で約135度から150度の範囲に位置しており,シャドーゾーンの境目である143度は,中部地方で通過していることがわかった.また,理論走時を計算したところ,最大振幅だと判断した部分は,PKPやPKIKPなどの波群での振幅であることがわかった.この波群の振幅分布は,それぞれの地震においては角距離が140度を越えたあたりから徐々に大きくなり,143度を超えると急増するように見える.さらに2つの地震の震源が0.5度ほど離れて発生していた事によって,角距離がずれた為に,2つの地震の最大振幅比が変化することがわかった.
発表では,日本各地におけるこれらの地震の波形の特徴を示し,メカニズムの影響等を除いた分布から,地球内部構造の影響がどれぐらい見られるかについて考察をする.