17:15 〜 18:30
[SSS29-P06] リアルタイム地震情報表示プログラムの作成
キーワード:地震情報、GPU、並列処理
私の所属する研究室では地震波動場の即時予測(Hoshiba et al. 2015)の研究開発を
行っており、その一環としてリアルタイム地震情報の表示システムの開発を行っている。
システムはデータ受信プログラム rcvt, データ変換プログラム shmdump, 波形サー
バーによって構成される。
rcvtと shmdumpは WINシステムに含まれるプログラムである。
波形サーバーはメモリ上に波形バッファを持ち、Webブラウザからのリクエストによって
クライアントにJSONフォーマットの地震波形データ、計測震度、最大加速度を送信する。
Webブラウザは波形サーバーに毎秒アクセスして受信したデータを HTMLファイルの中に
記述された JavaScriptプログラムによって表示する。
波形サーバーは数百点以上の観測点データを処理する必要があり、高速処理が必要と
なる。高速化のためにGPUによる並列処理ついての調査を行った。
計測震度の計算ではフーリエ変換が必要であり、フーリエ変換の高速化が重要である。
はじめにフーリエ変換について複数のライブラリによる処理性能の調査を行った。
実行環境は OSが Windows 8.1(64ビット版), CPUが Intelの Core i7-4770K
(3.5GHz, 4コア), GPUが NVIDIAの GeForce GTX 760, Cコンパイラが gcc 4.9,
FFTライブラリが FFTW 3.3, GPU用のFFTライブラリとして NVIDIAの CUDAに含まれる
cuFFT.
データ数 2の22乗(419万)では、広く使われているFFTライブラリ FFTWに比べて
GPUを使用する cuFFTは 10倍以上高速だった。
次に計測震度について調査を行った。
100Hzサンプリングの5分間の地震波形データを使用した(データ数 30000)。
比較のためにリアルタイム震度についても行った。
その結果, 計測震度は FFTWを使用した場合はリアルタイム震度より遅いが、
GPUを使用すればリアルタイム震度よりも高速である。
今後、GPUを複数の観測点の処理の並列化に応用して高速化を図る予定である。
謝 辞
本研究の一部はJSPS科研費25282114「実時間地震動予測:実況値を反映させる手法の
構築」の助成を受けたものです。
リアルタイム震度のプログラムは小木曽氏(気象研究所)から提供していただきました。
感謝いたします。
参考文献
1) Mitsuyuki Hoshiba and Shigeki Aoki, Numerical Shake Prediction for
Earthquake Early Warning: Data Assimilation, Real‐Time Shake Mapping, and
Simulation of Wave Propagation, BSSA, 2015,
Bulletin of the Seismological Society of America June 2015 vol. 105 no. 3
1324-1338
2) 気象庁:震度を知る(気象庁・監修)、ぎょうせい、1996年、pp.238.
3) 功刀卓他:震度のリアルタイム演算に用いられる近似フィルタの改良、
地震 第2輯 第65巻, 2013年、 pp.223-230
行っており、その一環としてリアルタイム地震情報の表示システムの開発を行っている。
システムはデータ受信プログラム rcvt, データ変換プログラム shmdump, 波形サー
バーによって構成される。
rcvtと shmdumpは WINシステムに含まれるプログラムである。
波形サーバーはメモリ上に波形バッファを持ち、Webブラウザからのリクエストによって
クライアントにJSONフォーマットの地震波形データ、計測震度、最大加速度を送信する。
Webブラウザは波形サーバーに毎秒アクセスして受信したデータを HTMLファイルの中に
記述された JavaScriptプログラムによって表示する。
波形サーバーは数百点以上の観測点データを処理する必要があり、高速処理が必要と
なる。高速化のためにGPUによる並列処理ついての調査を行った。
計測震度の計算ではフーリエ変換が必要であり、フーリエ変換の高速化が重要である。
はじめにフーリエ変換について複数のライブラリによる処理性能の調査を行った。
実行環境は OSが Windows 8.1(64ビット版), CPUが Intelの Core i7-4770K
(3.5GHz, 4コア), GPUが NVIDIAの GeForce GTX 760, Cコンパイラが gcc 4.9,
FFTライブラリが FFTW 3.3, GPU用のFFTライブラリとして NVIDIAの CUDAに含まれる
cuFFT.
データ数 2の22乗(419万)では、広く使われているFFTライブラリ FFTWに比べて
GPUを使用する cuFFTは 10倍以上高速だった。
次に計測震度について調査を行った。
100Hzサンプリングの5分間の地震波形データを使用した(データ数 30000)。
比較のためにリアルタイム震度についても行った。
その結果, 計測震度は FFTWを使用した場合はリアルタイム震度より遅いが、
GPUを使用すればリアルタイム震度よりも高速である。
今後、GPUを複数の観測点の処理の並列化に応用して高速化を図る予定である。
謝 辞
本研究の一部はJSPS科研費25282114「実時間地震動予測:実況値を反映させる手法の
構築」の助成を受けたものです。
リアルタイム震度のプログラムは小木曽氏(気象研究所)から提供していただきました。
感謝いたします。
参考文献
1) Mitsuyuki Hoshiba and Shigeki Aoki, Numerical Shake Prediction for
Earthquake Early Warning: Data Assimilation, Real‐Time Shake Mapping, and
Simulation of Wave Propagation, BSSA, 2015,
Bulletin of the Seismological Society of America June 2015 vol. 105 no. 3
1324-1338
2) 気象庁:震度を知る(気象庁・監修)、ぎょうせい、1996年、pp.238.
3) 功刀卓他:震度のリアルタイム演算に用いられる近似フィルタの改良、
地震 第2輯 第65巻, 2013年、 pp.223-230