日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS30] 地震活動

2016年5月25日(水) 09:00 〜 10:30 106 (1F)

コンビーナ:*林 能成(関西大学社会安全学部)、座長:武村 俊介(防災科学技術研究所)、大見 士朗(京都大学防災研究所地震防災研究部門)

10:15 〜 10:30

[SSS30-06] 2010年チリ地震(Mw8.8)と2001年ペルー地震(Mw8.4)に先行した地震活動の長期静穏化

*勝俣 啓1 (1.北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)

キーワード:静穏化、ZMAP、2011年チリ地震、2001年ペルー地震

ISCの震源カタログを用いて,1964年1月1日から2009年12月31日までに南米太平洋岸の研究領域(65-80°W, 10-60°S)で発生した深さ60km以浅,実体波マグニチュード5.0以上の地震1062個を解析した.Zhuang et al. (2002)が開発したStochastic declustering法を用いてデクラスター処理した後,ZMAP法を使用して地震活動度の変化を詳細に調べた結果,2010年2月27日チリ地震(Mw8.8)および2001年6月23日ペルー地震(Mw8.4)に先行した地震活動度の長期静穏化を検出した.2010年チリ地震の静穏化領域は,(36.7°S, 73.1°W)を中心とした半径144 kmの円内である.この円内の地震発生レートは,1964.0年から1990.4年までの期間Aが1.1 個/年, 1990.4年から2004.3年までの期間Bが0.19 個/年,2004.3年から2010.0年までの期間Cが 0.83 個/年であった.期間Aは定常的な地震活動を示し,期間B(13.9年間)は静穏化期間,期間C(5.7年間)は地震活動回復期だと考えられる.静穏化の後に数年間の回復期が現れ,その後本震が発生するというパターンは,2004年スマトラ地震(Mw9.1)や2011年東北沖地震(Mw9.0)でも観測されている.M9クラスの超巨大地震に特有のパターンかも知れない.2001年ペルー地震の静穏化領域は,(17.7°S, 72.1°W)を中心とする半径113 kmの円内である.この円内の地震発生レートは,1964.0年から1990.4年までの期間Dが0.76 個/年, 1990.4年から2000.5年までの期間Eは0.0 個/年であった.この場合は,期間Dが定常的な地震活動を示し,期間E(10.1年間)の静穏化期間が本震直前まで継続し,期間Cのような明瞭な回復期が見られない.このようなパターンは,1994年北海道東方沖地震(Mw8.3)や2003年十勝沖地震(Mw8.3)の際にも観測されている.M8.3~8.4程度の地震に特有のパターンかも知れない.