11:30 〜 11:45
[SSS30-10] 浜名湖周辺の地震活動静穏化現象と長期的ゆっくり滑りー続報
キーワード:地震活動静穏化、地震活動活発化、ゆっくり滑り
著者らは昨年秋の地震学会(2015)で浜名湖直下周辺のフィリピン海プレート内に検出された地震活動静穏化域が2回の長期的ゆっくり滑り(LSSE)のすべり分布域(国土地理院,2015)と重なることを示したが,両者には明瞭な時間的相関が認められないことを報告した.しかし気象庁(2014年9月以降の判定会)により,プレート境界で発生する2回のLSSEに対応して隣接の静岡県中西部地殻内の地震活動が低下する傾向が示され,静穏化現象とLSSEとの時間的相関が示唆されている.一方小林・吉田(2004)やYamamoto et al.(2005)は,1988年から1990年頃の時期にもLSSEが発生した可能性を指摘した.このようにLSSEがプレート境界で繰り返し発生しているとすれば,隣接の静岡県中西部地殻内の地震活動との因果関係を明らかにすると共に浜名湖周辺のプレート内地震活動の静穏化との時間的相関が見られない事の確認を改めて行う必要がある.
地震活動の静穏化・活発化の時間的・空間的特徴を把握するため,これまでと同様eMAPの方法(明田川・伊藤,2008および林元・明田川,2010)を使用した.図は1998年以降のM1.1以上の地震活動を対象に調査した静岡県中西部から浜名湖周辺にかけての静穏化・活発化捕捉震源の分布を示す.震源分布図(a)では静穏化域が駿河湾沿岸付近と浜名湖周辺に集中的に分布する様子が見られる.鉛直断面図(b)では,浜名湖周辺のプレート内における静穏化の様子と静岡県中西部の地殻とプレート両方の活発化の様子が見られる.この活発化は断層固着域としての活動を示している可能性を示す.時空間分布図(c)によると,静岡県中西部(Bの側)では2006年頃から2012年頃にかけて活発化が見られるが,LSSEが観測された2期間はあまり捕捉されず地震活動レベルが低かったことが見て取れる.この結果は気象庁により指摘された両者の対応関係を裏付ける.これに対して浜名湖付近(Aの側)の静穏化とLSSEとの対応は明瞭ではないものの,LSSE休止期に静穏化域が若干少なくなっているようにも見える.
さらに静岡県中西部の静穏化がどの程度の頻度で発生したかを1983年1月までさかのぼりM2.3以上の地震活動で調査した.この結果,同地域の一部で最近2回の静穏化に加え,1988年から1990年にかけて静穏化が起きていることが見出された.つまり静岡県中西部での3回の静穏化がいずれもLSSEと対応することになる.
以上の結果は断層固着域内の応力低下と浜名湖直下のプレート境界のLSSEによる応力緩和が同時に起きていることを示すと考えられる.対して浜名湖直下のプレート内の地震活動静穏化にLSSEとの明瞭な時間的相関が見られない原因は未解決のままであるが,構造の不均質性が関与している可能性もあることから更に解析を進める必要がある.
地震活動の静穏化・活発化の時間的・空間的特徴を把握するため,これまでと同様eMAPの方法(明田川・伊藤,2008および林元・明田川,2010)を使用した.図は1998年以降のM1.1以上の地震活動を対象に調査した静岡県中西部から浜名湖周辺にかけての静穏化・活発化捕捉震源の分布を示す.震源分布図(a)では静穏化域が駿河湾沿岸付近と浜名湖周辺に集中的に分布する様子が見られる.鉛直断面図(b)では,浜名湖周辺のプレート内における静穏化の様子と静岡県中西部の地殻とプレート両方の活発化の様子が見られる.この活発化は断層固着域としての活動を示している可能性を示す.時空間分布図(c)によると,静岡県中西部(Bの側)では2006年頃から2012年頃にかけて活発化が見られるが,LSSEが観測された2期間はあまり捕捉されず地震活動レベルが低かったことが見て取れる.この結果は気象庁により指摘された両者の対応関係を裏付ける.これに対して浜名湖付近(Aの側)の静穏化とLSSEとの対応は明瞭ではないものの,LSSE休止期に静穏化域が若干少なくなっているようにも見える.
さらに静岡県中西部の静穏化がどの程度の頻度で発生したかを1983年1月までさかのぼりM2.3以上の地震活動で調査した.この結果,同地域の一部で最近2回の静穏化に加え,1988年から1990年にかけて静穏化が起きていることが見出された.つまり静岡県中西部での3回の静穏化がいずれもLSSEと対応することになる.
以上の結果は断層固着域内の応力低下と浜名湖直下のプレート境界のLSSEによる応力緩和が同時に起きていることを示すと考えられる.対して浜名湖直下のプレート内の地震活動静穏化にLSSEとの明瞭な時間的相関が見られない原因は未解決のままであるが,構造の不均質性が関与している可能性もあることから更に解析を進める必要がある.