日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS30] 地震活動

2016年5月25日(水) 10:45 〜 12:15 106 (1F)

コンビーナ:*林 能成(関西大学社会安全学部)、座長:武村 俊介(防災科学技術研究所)、大見 士朗(京都大学防災研究所地震防災研究部門)

12:00 〜 12:15

[SSS30-12] 2015年6月23日に小笠原諸島西方沖で連続して発生した深発地震

*武村 俊介1齊藤 竜彦1汐見 勝彦1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:深発地震、地震波伝播、波形エンベロープ、伊豆小笠原弧

2015年6月23日21時18分に小笠原諸島西方沖を震源とするMw 6.5の深発地震が発生し,太平洋沿岸の観測点において非常に長い間 (数百秒間),地震動が継続した.観測された地震波形を詳細に調べてみると,21時18分から10分間の間に複数のP波およびS波のパルスが確認された.比較的規模の大きな地震が複数回,短い間隔で発生したことが示唆される.本研究では,日本全国に敷設された高感度地震観測網Hi-netおよび広帯域地震観測網F-netの速度波形記録を用いて連続して発生した地震群の地震波動伝播の様子を調べ,各地震の規模を見積もった.
まず,Hi-netの速度波形記録に1-32 Hzのバンドパスフィルターをかけ,3成分合成MSエンベロープ(以下,単にエンベロープ)を合成した.そして,ある時刻に得られた各観測点のエンベロープ振幅を空間内挿することで地震波エネルギーの分布を見積り,その時間変化から地震波エネルギーの伝播特性を調査した.その結果,21時18分から10分間の間に日本海を震源とする地震1つ,小笠原諸島西方沖を震源とする地震が3つ発生していることがわかった.気象庁の一元化震源カタログ(暫定版)では,小笠原諸島西方沖で発生した2つめの地震について記載されていない.エネルギー分布の時空間変化の特徴より,小笠原諸島西方沖で発生した3つの地震はほぼ同一の位置で発生したことが示唆される.そこで,岩盤点に設置されたF-netで得られた速度波形記録のエンベロープからそれぞれの地震のS波最大振幅を読取り,F-netのCMT解により地震モーメントが5.47×1018 Nm(Mw6.5)と推定されている1つめの地震と比をとることで地震規模の推定を試みた.推定された1つめの地震とのS波最大振幅比は46.2±2.3 %と10 .6±0.4%であり,地震モーメントはそれぞれ2.52±0.13×1018 Nm(Mw6.2±0.1)と5.80±0.22×1017 Nm(Mw5.8±0.1)とわかった.
謝辞
気象庁の一元化震源(暫定版)を利用しました.