16:00 〜 16:15
[SSS31-21] 電磁気学的手法を用いた活断層構造の探査―山田断層系郷村断層(京丹後市)の例―
キーワード:活断層、地磁気地電流法、郷村断層
ある活断層セグメントで発生する地震の規模を推定するために,地表における断層セグメントの長さとそれを生じた地震の規模との経験則(松田,1975など)が広く用いられている.しかし,地表地震断層の長さと発生した地震の規模が対応しないとの報告がある(例えば,金田・岡田,2002; 島崎,2008; 遠田,2013)このような不対応が生じる原因としては,地震発生時に震源断層で生じた変位が地下で止まる場合や,地表に達しても変位が多数の小さな変位に分散し地表調査では認識されにくい場合が考えられる.一方,活断層に沿う累積的な変位が浸食や崩壊などによって失われてしまうことも少なくない.このような「短い活断層」の問題を解決するためには,重力異常分布などの地球物理学的情報も活用して地下深部の構造を総合的に検討することが望ましいとされている(地震調査研究推進本部,2010).
断層運動に伴って活断層の近傍に破砕帯が発達する.この破砕域に天水や地下水が浸入することによって,顕著な低比抵抗領域が形成される場合がある.また,断層面に沿って発達する粘土層によって断層を横切る方向の地下水の流れが妨げられるために,断層の片側に顕著な低比抵抗領域が形成される場合もある(e.g., Ritter et al., 2005).いずれの場合でも,活断層の地下構造を電気比抵抗分布から明らかにすることができる(e.g., Yamaguchi et al., 2010; Yoshimura et al., 2009; Goto et al., 1998, 2005).
京都府京丹後市に位置する郷村断層は,1927年北丹後地震(M=7.3)にともなって地表に顕著な変位が確認された.その陸上部の長さは約13kmであるが,海底部まで含めた長さは約43kmもしくはそれ以上と報告されている(地震調査委員会, 2004). この断層の走向はN30°Wで,傾斜は南西傾斜(地表付近)または高角度と報告されている.平均変位速度は概ね0.2-0.3m/千年(左横ずれ成分)と0.07m/千年(上下成分)であるC級の活断層である(地震調査委員会, 2004, 岡田・東郷,2000).
郷村断層の地表トレースとほぼ直交する測線(約4km)を設け,この測線上の12地点で可聴周波数帯の自然磁場変動を信号源とする地磁気地電流法(Audio-frequency magnetotelluric; AMT)探査を行った.そして,郷村断層を含み深さ約1.5kmまでの電気比抵抗構造モデル(GMR model)を求めた.
このモデルは4つの低比抵抗領域で特徴づけられる.
(1) 郷村断層の地表トレースの東側の深さ160-300mに位置するほぼ水平な領域(C1)
(2) 郷村断層の地表トレースの東側の深さ750-1200mに位置するほぼ水平な領域(C2)
(3) 郷村断層の地表トレースの直下に位置するほぼ鉛直な領域(C3)
(4) 郷西方断層の地表トレースの直下に位置する小規模な領域(C4)
本発表では,はじめに活断層で予想される典型的な比抵抗構造に対するMT応答について説明する.次に,AMT探査およびモデル計算の概要について説明した後に,得られたモデル(GMR model)を近隣で行われた1,300mボーリング調査結果と対比させながら比抵抗モデルの解釈を行う.
断層運動に伴って活断層の近傍に破砕帯が発達する.この破砕域に天水や地下水が浸入することによって,顕著な低比抵抗領域が形成される場合がある.また,断層面に沿って発達する粘土層によって断層を横切る方向の地下水の流れが妨げられるために,断層の片側に顕著な低比抵抗領域が形成される場合もある(e.g., Ritter et al., 2005).いずれの場合でも,活断層の地下構造を電気比抵抗分布から明らかにすることができる(e.g., Yamaguchi et al., 2010; Yoshimura et al., 2009; Goto et al., 1998, 2005).
京都府京丹後市に位置する郷村断層は,1927年北丹後地震(M=7.3)にともなって地表に顕著な変位が確認された.その陸上部の長さは約13kmであるが,海底部まで含めた長さは約43kmもしくはそれ以上と報告されている(地震調査委員会, 2004). この断層の走向はN30°Wで,傾斜は南西傾斜(地表付近)または高角度と報告されている.平均変位速度は概ね0.2-0.3m/千年(左横ずれ成分)と0.07m/千年(上下成分)であるC級の活断層である(地震調査委員会, 2004, 岡田・東郷,2000).
郷村断層の地表トレースとほぼ直交する測線(約4km)を設け,この測線上の12地点で可聴周波数帯の自然磁場変動を信号源とする地磁気地電流法(Audio-frequency magnetotelluric; AMT)探査を行った.そして,郷村断層を含み深さ約1.5kmまでの電気比抵抗構造モデル(GMR model)を求めた.
このモデルは4つの低比抵抗領域で特徴づけられる.
(1) 郷村断層の地表トレースの東側の深さ160-300mに位置するほぼ水平な領域(C1)
(2) 郷村断層の地表トレースの東側の深さ750-1200mに位置するほぼ水平な領域(C2)
(3) 郷村断層の地表トレースの直下に位置するほぼ鉛直な領域(C3)
(4) 郷西方断層の地表トレースの直下に位置する小規模な領域(C4)
本発表では,はじめに活断層で予想される典型的な比抵抗構造に対するMT応答について説明する.次に,AMT探査およびモデル計算の概要について説明した後に,得られたモデル(GMR model)を近隣で行われた1,300mボーリング調査結果と対比させながら比抵抗モデルの解釈を行う.