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[SSS31-P05] 新潟県十日町盆地東部段丘面上に見られる背斜状変形とその成因
キーワード:十日町断層帯、変動地形、河成段丘、魚沼層群
十日町盆地は,東西を魚沼丘陵と東頸城丘陵に挟まれ,その中には信濃川が形成した多数の河成段丘が発達している.段丘面の変形から十日町盆地の東西両縁には山側隆起の逆断層の存在が古くから示されており,断層の分布,活動履歴,地下構造に関する調査・研究が行われてきた.地震調査委員会はこれらの断層を十日町断層帯東部と西部に区分し,既往研究結果と委託調査研究結果から最新活動時期を明らかにした.しかし,依然として東西両断層ともに,活動間隔や周囲の断層との連動性に関しては不明である.本研究では,十日町断層帯東部の活動履歴調査の一環として,断層帯周辺を対象に詳細な地形解析を行ったところ,南雲原近辺の河成段丘面上にNE—SW走向の背斜状の変形を発見した.この変形は,波長約1.5 kmで,米原面(14—30万年前)相当の段丘面を約20 m隆起させており,背斜上の対称褶曲と見られる.また,中在家集落周辺では,それより下位の朴の木坂面(14-17万年前),貝坂面(5万年前)に相当すると推定される段丘面上に累積的な変形が認められた.さらに,変形帯周辺の魚沼層について地質調査を行ったところ,その地質構造にも背斜構造と調和的な変形が見られ,魚沼層上部の堆積以降少なくとも5万年前まで活動していたと推定される.同地点では同じ地表変形を対象に都市圏活断層図(十日町)や日本の活断層(1991, 活断層研究会編)によってNNE—SSW走向の細尾—如来寺断層が報告されているが,地表踏査により断層が確認されなかったことや地表変形の分布から,NE—SW走向の背斜状変形とみなした.褶曲波長から推定される変形層の厚さは1-1.5kmと浅く,魚沼層内部の層面すべりによって駆動された褶曲変形の可能性が高い.これは横倉ほか(2008,地質ニュース)によって示唆されたデタッチメント断層の存在を支持する結果であり,十日町断層東部とデタッチメント断層によって連結している可能性を示唆している.