14:00 〜 14:15
[SSS32-02] 有限要素法を用いた断層すべりによる地殻変動の解析
キーワード:有限要素法、断層すべり、東北地方太平洋沖地震
アドバンスソフト社では有限要素法を用いて断層すべりやマグマの移動に伴う地殻変動を解析するプログラム(プログラムの総称はFrontSTR/GEOS)の開発を進めている。このプログラムは、文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」の成果プログラムFrontSTRを有限要素法の計算に利用し、それに断層やマグマを表現する機能を独自につけ加えたものである。有限要素法の行列計算には繰り返し法の1種であるCG法を主に用いる。プログラムはパソコンでも大型計算機でも実行でき、並列計算にも対応できる。
有限要素法のメッシュは独自に開発したプログラムmeshgenで自動的に作成される。その手順はまず対象となる領域を六面体要素で分割して全体メッシュをつくり、そこに断層を組み込む。この2段階の操作は独立なので、断層を定義する際にメッシュを意識する必要がない。
全体メッシュは1個または複数のブロックで構成される。各ブロックは六面体要素で分割され、要素の大きさは一定であっても、位置とともに一定の割合で変化させてもよい。全体メッシュの作成時に、地表に接する最上部のメッシュの厚さを調整して地形を組み込むことができる。計算領域の側面と底を区切る人工的な境界には無限要素を設定して、境界条件の影響を抑えることができる。各要素の弾性定数は地震波速度の3次元分布と整合的に設定できる。
断層面は三角形や四角形の集合体で定義され、断層面上のすべりは三角形や四角形の頂点で指定されて内部に内挿される。断層は複数あってもよいが、互いに交差してはならない。また各々の断層は1つのブロックの内部におさまらなくてはならない。
全体メッシュに断層を組み込むときに、断層面が通る要素は断層面でさらに複数の要素に分割される。分割によって断層面上には新しい要素の境界となる節点がつくられるが、この節点は断層面の両側が独立に動けるように変位の値を2重にもつ。すべりや開口はこの2重変位の差によって表現される。有限要素法の計算を実行するときは、2重変位はMPC法で処理される。すなわち、2重変位はその他の変位とともに弾性平衡の条件と2重変位間の拘束条件を両方満たすように計算される。
このプログラムは断層の各点に指定された変位差によって生じる弾性変形の計算を基礎にする。粘弾性変形の効果は弾性変形に働く外力の形で計算に組み込めるので、この性質を利用して粘弾性による変形の緩和を時間とともに追跡することができる。粘弾性緩和の計算には変形によって生じる重力の効果も考慮される。断層面上の二重変位間の拘束条件を調整すれば、断層面に応力条件を設定することも可能である。
計算の事例として2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を取り上げて、断層の形状や断層すべりの分布が地殻変動にどう影響するかを議論する。また、粘性率に適当な分布を仮定して、粘弾性による変形の緩和を推定する。さらに、この事例を用いて、断層すべりを二重変位で表現する利点について説明する。
有限要素法のメッシュは独自に開発したプログラムmeshgenで自動的に作成される。その手順はまず対象となる領域を六面体要素で分割して全体メッシュをつくり、そこに断層を組み込む。この2段階の操作は独立なので、断層を定義する際にメッシュを意識する必要がない。
全体メッシュは1個または複数のブロックで構成される。各ブロックは六面体要素で分割され、要素の大きさは一定であっても、位置とともに一定の割合で変化させてもよい。全体メッシュの作成時に、地表に接する最上部のメッシュの厚さを調整して地形を組み込むことができる。計算領域の側面と底を区切る人工的な境界には無限要素を設定して、境界条件の影響を抑えることができる。各要素の弾性定数は地震波速度の3次元分布と整合的に設定できる。
断層面は三角形や四角形の集合体で定義され、断層面上のすべりは三角形や四角形の頂点で指定されて内部に内挿される。断層は複数あってもよいが、互いに交差してはならない。また各々の断層は1つのブロックの内部におさまらなくてはならない。
全体メッシュに断層を組み込むときに、断層面が通る要素は断層面でさらに複数の要素に分割される。分割によって断層面上には新しい要素の境界となる節点がつくられるが、この節点は断層面の両側が独立に動けるように変位の値を2重にもつ。すべりや開口はこの2重変位の差によって表現される。有限要素法の計算を実行するときは、2重変位はMPC法で処理される。すなわち、2重変位はその他の変位とともに弾性平衡の条件と2重変位間の拘束条件を両方満たすように計算される。
このプログラムは断層の各点に指定された変位差によって生じる弾性変形の計算を基礎にする。粘弾性変形の効果は弾性変形に働く外力の形で計算に組み込めるので、この性質を利用して粘弾性による変形の緩和を時間とともに追跡することができる。粘弾性緩和の計算には変形によって生じる重力の効果も考慮される。断層面上の二重変位間の拘束条件を調整すれば、断層面に応力条件を設定することも可能である。
計算の事例として2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を取り上げて、断層の形状や断層すべりの分布が地殻変動にどう影響するかを議論する。また、粘性率に適当な分布を仮定して、粘弾性による変形の緩和を推定する。さらに、この事例を用いて、断層すべりを二重変位で表現する利点について説明する。