日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS32] 地殻変動

2016年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*村瀬 雅之(日本大学文理学部地球科学科)、道家 涼介(神奈川県温泉地学研究所)、座長:木村 久夫(気象庁)、村瀬 雅之(日本大学文理学部地球科学科)

15:30 〜 15:45

[SSS32-07] 2016年台湾美濃地震による地表面変動

*橋本 学1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:2016年台湾美濃地震、地表面変動、合成開口レーダー、ALOS-2/PALSAR-2

2016年2月6日,台湾南部高雄市付近を震源とするMw6.4の地震が発生し,台南市でビルの倒壊による100名以上の犠牲者が出る等,大きな被害が発生した。この地震による地表面変動を検出するために,宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用するALOS-2/PALSAR-2画像を解析した。
地震後の観測は,2月9日に北行軌道から高分解モードで,14日に南行軌道から広域観測モードで行われた。特に,広域観測モードの観測は震央を含む台湾南部をカバーし,変動の全体像を議論することができる。Gammaを用いて,2パス干渉処理を行った。DEMはASTER-GDEM ver. 2を用いた。広域観測モードの干渉画像に,20km×20km四方の最大9cm程度の視線距離伸張の領域と,その西隣に南北約20km×東西約10kmの最大12cmにおよぶ視線距離短縮領域が認められた。西側の視線距離短縮領域は,高分解モードの干渉画像に認められ,この地域は隆起したものと考えられる。これらの観測結果派,現地台湾国立成功大学のグループによるGNSS観測結果とデコルマの逆断層運動とする解釈(Ching et al., 2016, perosnal communication)と整合する。
興味深いのは,さらに西側に2つの視線距離短縮領域に挟まれた視線距離伸長の領域があることである。この視線距離伸長領域の周辺部では,道路等に亀裂も見つかったという報告がある(Ray Chuang, personal communication)。この結果は,デコルマの西端に副次的な断層運動が生じたことを示唆する。
台南市の北東部にも視線距離伸長領域を検出した。この地域は,河川に沿った沖積平野であることから,液状化現象が生じたものと考えられる。
3月に現地を訪れ,特に変動域を中心に調査する予定である。この結果も合わせて報告する。
ALOS-2/PALSAR-2画像は,地震予知連絡会SAR解析WGの活動の一環として,JAXAより提供されました。ALOS-2/PALSAR-2画像の所有権・著作権はJAXAにあります。