16:45 〜 17:00
[SSS32-12] 地殻変動即時把握について
キーワード:ひずみ計、スタッキング、ゆっくりすべり
気象庁は、東海地震の前兆を捉えることを目的として、東海地域周辺の地殻変動を監視している。これまでの監視システムでは、個々の観測データの変化量について、定常状態で変化しうるレベル(ノイズレベル)を越える異常を検知する(小林・松森(1999))ことにより監視を行ってきた。昨年度導入した新システムでは、さらにスタッキング法(宮岡・横田(2012))により作成したデータの異常を自動検知させて変動源の位置を把握するとともに、断層モデル推定までを自動で行うことにより、地殻変動の即時的異常把握を目指している。
スタッキング法は、あらかじめプレート境界面上のグリッドごとに断層すべりを想定し、このすべりによる理論値の極性を基にして観測値を重ね合わせることで観測データのシグナルを増幅し、変化を検知するものであるが、観測点の配置やノイズレベル等によっては、実際にすべりの生じていないグリッドのスタッキングデータにも変化が生じてしまう場合がある。そこで、このような偽の変化を自動的に除外するために、観測された変化量と仮定した断層すべりによる理論変化量が似ている程度の指標として決定係数を閾値に用いて、変化を検知したグリッドの位置を限定する手法を開発し、これを新システムに採用した。また、異常を検知したスタッキングデータを基に、改めて断層モデル推定を行うことによって、結果の信頼性を高めることを目指している。この新システムにより、プレート境界の断層すべりがこれまでより早く正確に検知できることが期待される。
この新システムに導入した解析手法の概要と、短期的ゆっくりすべりによる異常変化の検出事例について紹介する。
スタッキング法は、あらかじめプレート境界面上のグリッドごとに断層すべりを想定し、このすべりによる理論値の極性を基にして観測値を重ね合わせることで観測データのシグナルを増幅し、変化を検知するものであるが、観測点の配置やノイズレベル等によっては、実際にすべりの生じていないグリッドのスタッキングデータにも変化が生じてしまう場合がある。そこで、このような偽の変化を自動的に除外するために、観測された変化量と仮定した断層すべりによる理論変化量が似ている程度の指標として決定係数を閾値に用いて、変化を検知したグリッドの位置を限定する手法を開発し、これを新システムに採用した。また、異常を検知したスタッキングデータを基に、改めて断層モデル推定を行うことによって、結果の信頼性を高めることを目指している。この新システムにより、プレート境界の断層すべりがこれまでより早く正確に検知できることが期待される。
この新システムに導入した解析手法の概要と、短期的ゆっくりすべりによる異常変化の検出事例について紹介する。