[S-SS32] 地殻変動

[SSS32-P05] 時間変化を含めた西南日本のブロック断層モデリング

*小沢 慎三郎¹ (1.国土交通省国土地理院)

キーワード：時間依存のインバージョン、ブロック断層モデル、西南日本

要旨
時間変化を含めて、西南日本のブロック断層モデリングを行った。その結果ブロック運動をいれた場合、陸側プレートとフィリピン海プレート間のカップリングが入れない場合に比べて若干小さくなる結果が得られた。得に内陸付近まで見られたプレート間カップリングが小さくなることが確認された。
はじめに
日本付近の沈み込み帯のプレート間カップリングを精度よく求めることは、将来の海溝型大地震の発生の場所・規模を推定する上で大変重要である。特に西南日本の駿河・南海トラフ沿いで発生する東海・南海地震は比較的高い発生確率が推定されている。このような中、西南日本のプレート間カップリングの研究が数多く行われてきた。しかしながら、これまでの研究では、時間変化まで含めたモデル化はあまり行われていない。ここでは、時間変化まで含めたブロック断層モデリング手法を開発し、西南日本に適用してみた。
解析手法
日本地域のブロック断層モデルは、橋本他によってGPSの観測結果から行われている。本研究では、橋本他(2000)のブロックモデルの形状を使用して西南日本のブロックモデルを構築した。即ち、内陸では、橋本他(2000)の矩形断層をブロック境界として用い、海溝域のプレート境界は、矢吹＆松浦によって提唱されたスプライン補間の関数を用いた。このブロック形状の下、時間依存のインバージョンを行い、内陸域及び海溝域のプレート間カップリングを推定した。西南日本の500点程のGPS観測点の東西、南北、上下の座標時系列を使用している。解析期間は、2008-2009年とした。
結果と考察
時間変化を含めたブロック断層モデリングにより、ブロック運動をいれない場合といれない場合で海溝域でのプレート間カップリングが小さくなる傾向が得られた。また東海地方では内陸深部まで及ぶプレート間カップリングが、ブロック運動を取り入れた場合、消えることが確認された。