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[SSS32-P13] 精密水準測量によって検出された2014年御嶽山噴火前後の上下変動とその解釈(2006-2015)
キーワード:御嶽火山、精密水準測量、地殻変動
長野県・岐阜県境の御嶽山において2014年9月27日に水蒸気噴火が発生した。紅葉シーズンの休日の昼間であったため山頂付近では多くの登山者が噴火に遭遇し、多数の死傷者が発生する戦後最大の火山災害となった。
2014年噴火後の10月15日~17日に測量した御嶽山東山麓の水準路線を2015年4月21日~24日に再測した。再測された水準路線は、2014年噴火以前から繰り返し測量されていた屋敷野路線(16㎞)、木曽温泉路線(7㎞)、2014年噴火後の2014年10月に、より山頂に近い領域での上下変動の検出をめざし新設された御岳ロープウエイ路線(8㎞)である。噴火後の半年間における上下変動として、水準路線の南東端の上松(御嶽山山頂南東側約20㎞)を不動点として、御岳ロープウエイ路線・屋敷野路線で約4㎜の隆起が検出された。2014年噴火をはさむ2009-2014年の測量結果が屋敷野路線・木曽温泉路線において約10㎜の沈降であるのに対し、噴火後半年間では概してわずかな山頂方向の隆起を示す結果となった。さらに、御岳ロープウエイ路線を3.1㎞、屋敷野路線を1.7㎞延長し第一回目の測量を行った。
また、2006年―2014年の水準測量データを用い、2014年噴火に至る噴火準備過程の解明を試みた。名大・他では2006年以降に限っても、2006年4月、2007年4月、2008年5月、2009年4月に路線の大部分が測量されている。また2013年8月にも短い距離ではあるが既存路線の一部が測量され、2014年噴火後は2014年10月に測量が行われている。過去の水準測量結果から上下変動の時間変化を検討すると、2006年以降は山頂方向の隆起を示す変動パターンであることが明らかとなった。2007年の小噴火後も、その隆起は沈降に転ずることはなく、2009年まで隆起傾向が継続している。短い区間の測量ではあるが2013年の測量結果からも、山頂方向の隆起が2013年まで継続していたことが示唆される。そして、2014年噴火をはさむ2009-2014年の測量では、山頂方向の沈降が検出された。
2014年噴火をはさむ沈降の期間(2009-2014)と、2014年噴火前の隆起の期間(2006-2009)において、それぞれ圧力源モデルを推定した。2014年噴火をはさむ沈降の期間の圧力源モデルとして、収縮する山頂直下の浅いシル状のクラックが推定された。また噴火前の隆起の期間のモデルとして、山頂直下の浅いシル状クラックと、その下の深いダイク状クラックの開口が推定された。
上下変動の時間変化と圧力源モデルから、以下のような火山活動の推移が示唆される。2006年に山頂直下へのマグマ貫入が発生し山頂直下の浅いシルと深いダイク状のクラックが開口し、2007年噴火が発生した。しかし2007年噴火後もマグマ供給は継続し2014年噴火が発生した。2014年噴火後、浅いシル状のクラックは収縮に転じた。
2014年噴火後の10月15日~17日に測量した御嶽山東山麓の水準路線を2015年4月21日~24日に再測した。再測された水準路線は、2014年噴火以前から繰り返し測量されていた屋敷野路線(16㎞)、木曽温泉路線(7㎞)、2014年噴火後の2014年10月に、より山頂に近い領域での上下変動の検出をめざし新設された御岳ロープウエイ路線(8㎞)である。噴火後の半年間における上下変動として、水準路線の南東端の上松(御嶽山山頂南東側約20㎞)を不動点として、御岳ロープウエイ路線・屋敷野路線で約4㎜の隆起が検出された。2014年噴火をはさむ2009-2014年の測量結果が屋敷野路線・木曽温泉路線において約10㎜の沈降であるのに対し、噴火後半年間では概してわずかな山頂方向の隆起を示す結果となった。さらに、御岳ロープウエイ路線を3.1㎞、屋敷野路線を1.7㎞延長し第一回目の測量を行った。
また、2006年―2014年の水準測量データを用い、2014年噴火に至る噴火準備過程の解明を試みた。名大・他では2006年以降に限っても、2006年4月、2007年4月、2008年5月、2009年4月に路線の大部分が測量されている。また2013年8月にも短い距離ではあるが既存路線の一部が測量され、2014年噴火後は2014年10月に測量が行われている。過去の水準測量結果から上下変動の時間変化を検討すると、2006年以降は山頂方向の隆起を示す変動パターンであることが明らかとなった。2007年の小噴火後も、その隆起は沈降に転ずることはなく、2009年まで隆起傾向が継続している。短い区間の測量ではあるが2013年の測量結果からも、山頂方向の隆起が2013年まで継続していたことが示唆される。そして、2014年噴火をはさむ2009-2014年の測量では、山頂方向の沈降が検出された。
2014年噴火をはさむ沈降の期間(2009-2014)と、2014年噴火前の隆起の期間(2006-2009)において、それぞれ圧力源モデルを推定した。2014年噴火をはさむ沈降の期間の圧力源モデルとして、収縮する山頂直下の浅いシル状のクラックが推定された。また噴火前の隆起の期間のモデルとして、山頂直下の浅いシル状クラックと、その下の深いダイク状クラックの開口が推定された。
上下変動の時間変化と圧力源モデルから、以下のような火山活動の推移が示唆される。2006年に山頂直下へのマグマ貫入が発生し山頂直下の浅いシルと深いダイク状のクラックが開口し、2007年噴火が発生した。しかし2007年噴火後もマグマ供給は継続し2014年噴火が発生した。2014年噴火後、浅いシル状のクラックは収縮に転じた。