日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT51] 地震観測・処理システム

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中村 洋光(防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[STT51-P07] 地震研究情報データ提供システム(J-SEIS)の開発

*堀川 博紀1高江洲 盛史2末木 健太朗1荒木 英一郎1園田 朗1高橋 成実1坪井 誠司1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.日本海洋事業株式会社)

キーワード:地震波形データ、長期孔内観測システム、DONET、ちきゅう

国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター(CEIST)では,今後,大地震の発生が予想されている東南海地震震源域の各種地震活動データを収集・統合した,地震研究情報データベースを構築した.地震・地殻変動現象の速やかな解析を促進するため,CEISTでは,海底地震観測データを広く一般に公開する,DONETイベントデータ提供システムと長期孔内観測データ提供システムの運用を行ってきた.
DONETイベントデータ提供システムは,紀伊半島熊野灘沖に設置された,地震・津波観測監視システム(DONET1)の観測データの提供システムとして,2014年11月から運用を開始した.DONETイベントデータ提供システムでは,DONET1の20観測点における強震計と広帯域地震計観測データの内,USGSカタログのマグニチュード6以上,気象庁カタログのマグニチュード4以上を対象として,地震イベント毎に切り出したデータ(イベントデータ)を提供してきた.
また,長期孔内観測データ提供システムは,長期孔内観測システムの観測データ提供システムとして,2015年7月から運用を開始した.長期孔内観測システムは,2010年に国際深海科学掘削計画(IODP)により,地球深部探査船「ちきゅう」によって,紀伊半島熊野灘沖に設置された.長期孔内観測システムには複数のセンサー(広帯域地震計,傾斜計,間隙水圧計,歪計,温度計など)を備えており,DONET観測網を通してリアルタイムでデータが横浜研究所へ送信される.長期孔内観測データ提供システムでは,システム利用者が任意の時間長で切り出した,長期孔内観測システムの観測データ(連続データ)を準リアルタイムで提供してきた.
DONETイベントデータ提供システムと長期孔内観測データ提供システムには,共にmini-seed形式の観測データを取り扱うなど,システムの仕様に共通性があり,システム統合の可能性について検討を行った.システムを統合することにより,同一のWebアプリケーションから,連続データとイベントデータのダウンロードが容易となる.さらに,Webインタフェース一元化によるユーザビリティの向上や,システム運用管理の効率化が期待される.これらのシステム統合によるメリットを踏まえ,2015年度より,長期孔内観測データ提供システムをベースシステムとして両システムを統合し,地震研究情報データ提供システム(J-SEIS:JAMSTEC Ocean-bottom Seismology Database)を構築した.
また,システムの統合と併せて,IRISが提供する「Web Services」を参考にしたデータダウンロード機能の新規実装や,ユーザ認証環境の整備,技術情報などの掲載コンテンツの拡充も実施している.
地震研究情報データ提供システムは,2016年度に運用を開始し,今後,潮岬沖から室戸岬沖の南海地震震源域に設置されたDONET2や,長期孔内観測システムの新規観測点における,観測データの追加も予定している.