日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT53] 地球科学へのルミネッセンス年代測定の貢献

2016年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 203 (2F)

コンビーナ:*杉崎 彩子(産業技術総合研究所)、田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、近藤 玲介(皇學館大学教育開発センター)、伊藤 一充(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、座長:杉崎 彩子(産業技術総合研究所)、田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

13:45 〜 14:00

[STT53-01] 光ルミネッセンス年代は日本の第四紀地質学を発展させるか?

*田村 亨1伊藤 一充1 (1.Geological Survey of Japan, AIST)

キーワード:第四紀、地質、海岸、ルミネッセンス年代

光ルミネッセンス年代は,世界的に過去15年間において放射性炭素年代と並ぶ汎用的な堆積年代測定手法となった.放射性炭素年代に対する光ルミネッセンス年代の長所は,普遍的に存在する石英や長石など鉱物粒子への適用が可能なこと,および適用可能な年代範囲が広いことである.一方で短所は,埋積中の年間線量の不確定性,さらに鉱物のルミネッセンス特性に起因する精度や確度の問題である.従って光ルミネッセンス年代は,放射性炭素が何らかの理由で使えない場合の代替的な,しかし有力な年代と考えられる.最近の世界的な拡がりの一方,日本国内でのOSL年代測定の適用はいまだに限定的である.この主な理由は,日本の,特に火山起源の石英が年代測定に適さないことと,第四紀後期のテフラ層序が他地域に比べると発展しておりOSL年代の重要性が低いとみなされていることである.しかし,日本国内においてもOSL年代測定の適用が必要な堆積物記録は広く存在し,また,適用可能な手法もある.ここでは,日本の海岸砂丘,浜堤,津波堆積物,海岸段丘,およびレス-火山灰シーケンスにおけるOSL年代測定を概観し,それぞれの成果と問題点を総括する.