17:15 〜 18:30
[STT53-P04] 河成段丘堆積物のOSL年代測定と指標テフラ分析
キーワード:光ルミネッセンス年代測定、河成段丘堆積物、御岳第1テフラ
隆起や侵食に関連して生じる地質環境の長期変化を把握することは,高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価において重要である. 10万年程度の隆起速度は,段丘面を基準面として,その比高や離水年代によって見積られる.OSL年代測定法は,堆積物に普遍的に存在する石英や長石に適用できるため,離水年代を決定するのに効果的な手法である.近年,欧州や豪州などの大陸で一般的に適用されているものの,日本での適用は少なく,特に河川堆積物のOSL法を用いた年代測定事例は限られている.そこで本研究では,日本における段丘堆積物中の石英を用いたOSL年代測定法を整備するため,堆積物に挟在する指標テフラとの関係性から,OSL法を用いた年代測定結果の妥当性と手法の有効性について検討する.試料は木曽川沿い及びその支流の付知川沿いの河成段丘堆積物から採取した.段丘堆積物は,葉理の発達した砂層及び二次堆積したと考えられる軽石層から構成されている.軽石層は,鉱物組成,火山ガラスや斑晶鉱物の屈折率及び主成分分析により,On-Pm1テフラ(100ka;小林ほか,1967;竹本ほか,1987)であると同定された.これは,段丘堆積物が100ka以降に堆積したことを示している.堆積物試料から抽出した石英粒子を通常のSAR法(Murray and Wintle, 2000)で測定した結果,40~50kaの年代値が得られた.試料のOSL信号(減衰曲線)は,OSL年代測定に不適なmedium成分からなるため,年代値が低く見積られている可能性がある.そこで,年代測定に最適なfast成分を解析で抽出し,その信号を用いた蓄積線量について検討を行う.
本報告は,経済産業省資源エネルギー庁委託事業「地層処分技術調査等事業(地質環境長期安定性評価確証技術開発)」の成果の一部である.
本報告は,経済産業省資源エネルギー庁委託事業「地層処分技術調査等事業(地質環境長期安定性評価確証技術開発)」の成果の一部である.