日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2016年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*宮城 洋介(防災科学技術研究所)、山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、森下 遊(国土交通省国土地理院)、座長:宮城 洋介(防災科学技術研究所)、森下 遊(国土交通省国土地理院)

10:15 〜 10:30

[STT54-06] GB-SARの技術と応用

★招待講演

*佐藤 源之1 (1.東北大学)

キーワード:GB-SAR、地上設置型合成開口レーダ、地滑り

地上設置型合成開口レーダ(Ground Based Synthetic Aperture Radar) はGB-SARとして開発と実用化が進んでいる。
1990年代から基礎的な研究がイタリア、スペインなどで開始され、東北大学東北アジア研究センターにおいてもVNAを送受信機に利用したシステムを1997年頃より実験的に研究し、比較的近距離の樹木の3次元可視化や、レーダポーラリメトリを利用した特徴抽出などに利用してきた。
2010年頃より、商用のGB-SARシステムが普及をはじめ、東北大学東北アジア研究センターでは宮城県栗原市荒砥沢の大規模な地滑り地域を対象とした連続モニタリングを栗原市と共同で2011年11月より行っている。地滑りの早期警戒システムを社会実装する実験と捉えている。
電波暗室内や、ごく近傍で極めて微弱な出力しか出さない場合を除き、通常のGB-SAR運用には無線局の認可を受ける必要がある。我が国では電波法の定めに従い、周波数割り当てを受けることになるが、レーダーで使用できる周波数はある程度決まっている。
一方、関東総合通信局は、2012年度に「17GHz帯地上設置型合成開口レーダーに関する調査検討会」を実施した。これは欧州などで標準化されている17GHz帯の周波数を我が国で利用する場合の問題点を明確にし、利用促進を図ろうとするものであった。同時にこの周波数帯域は 特定実験局として、比較的容易に無線局免許を受けられる周波数としても公開された。
東北大学東北アジア研究センターが荒砥沢で運用するGB-SARは、予め告示された周波数、空中線電力及び使用可能地域の条件の下、免許を受けやすい特定実験試験局として開局したが、後にこの周波数割り当てがなくなったため、2013年4月から、実験試験局に変更している。その後、東北大学東北アジア研究センターでは更に2台について、同17GHz周波数帯域で実験試験局の免許を受け、研究を行っている。
GB-SARは周波数によって得られる情報の種類が変わる。今後、異なる周波数での利用価値を見極める必要がある。
17GHz帯を用いて、東北大学東北アジア研究センターでは地滑り計測の他、橋梁の振動計測や広域の路盤計測への応用などを行っている。