日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*宮城 洋介(防災科学技術研究所)、山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、森下 遊(国土交通省国土地理院)

17:15 〜 18:30

[STT54-P06] DInSAR観測により検出された北海道十勝岳の地殻変動

*宮城 洋介1川口 亮平1小澤 拓1高橋 浩晃2 (1.防災科学技術研究所、2.北海道大学地震火山研究観測センター)

キーワード:合成開口レーダ、地殻変動、十勝岳

北海道中央部に位置する十勝岳は,十勝岳火山群の中で現在最も活発に活動している火山である.20世紀には1926年,1962年,そして1988-89年に小,中規模のマグマ噴火が発生しており,その間にも水蒸気爆発を繰り返してきた.1988-89年の噴火以降も度々火山性微動や地震活動の活発化が観測され,現在でも大正火口や62-2火口からは活発な噴気活動が続いている.
北海道立地質研究所が山頂近傍で行っているGNSS連続観測により,2006年8月以降62-2火口のすぐ西側,前十勝を中心とする局所的な地殻変動が検出され,山頂付近が膨張していることが明らかとなった.この膨張は2015年まで続いたが,2015年5月に変動パターンは同じで変動レートが大きくなった.同時期にL-band SAR衛星・ALOS-2/PALSAR-2とX-band SAR衛星・TanDEM-Xによる観測が行われ,2015年5月-7月期間の山頂近傍の局所的な膨張の地殻変動が検出された.変動の中心は前十勝で,同じ地殻変動を見ていると思われる.二つのSAR衛星はそれぞれ西と東から観測していることから,本研究では得られた地殻変動を東西と準上下成分に分解し,より詳細な変動パターンを得る.こうして得た地殻変動の変動源を推定すべく,Mogiモデル[Mogi, 1958]を使ったモデリングと境界要素法を用いた地形を考慮したモデリング[川口他, 本学会,2016]の結果を比較した.その結果,地形を考慮した方が,より観測値を説明できることが分かった.