10:00 〜 10:15
[SVC46-05] サイエンスコミュニケーション視点でみる火山活動情報:科学の不確実性を伝える
キーワード:サイエンスコミュニケーション、火山活動情報、科学の不確実性
気象庁は2014年8月30日に「特別警報」を導入し、国土交通省は2015年1月20日に「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」を公表しており、災害情報の提示のあり方の模索段階にあるといえる。本論では、科学的な不確実性がある中で迅速判断が求められる場でのサイエンスコミュニケーションの事例として、時間空間幅が広く、自然災害の中でも火山活動情報に焦点をあて、火山活動情報の中でも、東日本大震災以降の論点となった「作動中(発展途上)の科学」や「科学の不確実性」のあつかいに焦点をあて、日本での発信側と受信側の事例を検討する。とくに、活動頻度の高い事例として、2014年8月と2015年5月の噴火で迅速な避難を行なった口永良部火山、活動頻度の低い火山事例として2015年4月に火口周辺危険警報の出た蔵王火山に焦点をあてた。
2015年5月29日に口永良部島の新岳火口において火山噴火が発生し、我が国の火山において初めての特別警報(噴火警戒レベル5)が発表され、島外への避難が行われた。2015年の口永良部火山活発化からの全島避難にいたるまでの、住民の火山活動情報の活用についても検討した。聞き取り調査は2015年7月と10月に実施した。主な聞き取り先は、屋久島町役場(宮之浦支所,口永良部支所)、口永良部消防団関係者、口永良部島内区長、である。2015年7月は「2014年8月以前の火山防災意識」「2014年8月以降の火山防災意識」「2015年5月避難の判断と状況」について、2015年10月は、「2015年避難時の再聞き取り」「2015年10月以降帰島に向けた考え」について、聞き取りを行った。これまで指摘されてきた専門家と行政や報道との情報伝達に限らず、非専門家ながら高い関心を持つ地域住民との関係構築や不確実性を含めた情報伝達が重要であることが示唆された。
2015 年4月7日以降、蔵王火山御釜付近が震源と推定される火山性地震が増加し、13日に火口周辺警報(火口周辺危険)が発表された。5月17日の火山性微動を最後に、地震の少ない状態で経過し、6月16 日に解除された。御嶽での災害後に活発化した最初の火山であった。4月14日の報道を通じて、行政の観光関係者のコメントとして「(エコーラインの冬期閉鎖からの開通を前に)でばなをくじかれた」「蔵王山が噴火する火山との認識はなかった」との報道があった。情報解除後は、宮城・山形両県での観光支援を中心としたさまざまな施策が行われた。4月の警報直後、6月の解除後の観光地での対応について、2016年1月に宮城・山形両県の観光関連事業主に面談調査を行った。「(噴火は過去のことで)噴火する認識がなかった」という回答が大半を占めるとともに、地学現象と生活の時間スケールの隔たりが、対策への理解を妨げている現状が示唆された。
2015年5月29日に口永良部島の新岳火口において火山噴火が発生し、我が国の火山において初めての特別警報(噴火警戒レベル5)が発表され、島外への避難が行われた。2015年の口永良部火山活発化からの全島避難にいたるまでの、住民の火山活動情報の活用についても検討した。聞き取り調査は2015年7月と10月に実施した。主な聞き取り先は、屋久島町役場(宮之浦支所,口永良部支所)、口永良部消防団関係者、口永良部島内区長、である。2015年7月は「2014年8月以前の火山防災意識」「2014年8月以降の火山防災意識」「2015年5月避難の判断と状況」について、2015年10月は、「2015年避難時の再聞き取り」「2015年10月以降帰島に向けた考え」について、聞き取りを行った。これまで指摘されてきた専門家と行政や報道との情報伝達に限らず、非専門家ながら高い関心を持つ地域住民との関係構築や不確実性を含めた情報伝達が重要であることが示唆された。
2015 年4月7日以降、蔵王火山御釜付近が震源と推定される火山性地震が増加し、13日に火口周辺警報(火口周辺危険)が発表された。5月17日の火山性微動を最後に、地震の少ない状態で経過し、6月16 日に解除された。御嶽での災害後に活発化した最初の火山であった。4月14日の報道を通じて、行政の観光関係者のコメントとして「(エコーラインの冬期閉鎖からの開通を前に)でばなをくじかれた」「蔵王山が噴火する火山との認識はなかった」との報道があった。情報解除後は、宮城・山形両県での観光支援を中心としたさまざまな施策が行われた。4月の警報直後、6月の解除後の観光地での対応について、2016年1月に宮城・山形両県の観光関連事業主に面談調査を行った。「(噴火は過去のことで)噴火する認識がなかった」という回答が大半を占めるとともに、地学現象と生活の時間スケールの隔たりが、対策への理解を妨げている現状が示唆された。