日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] 活動的火山

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)、前田 裕太(名古屋大学)

17:15 〜 18:30

[SVC47-P06] 高密度電気探査による那須火山茶臼岳噴気地帯における比抵抗構造の推定

*木下 貴裕1神田 径2高倉 伸一3関 香織1松永 康生1 (1.東工大地惑、2.東工大火山流体、3.産総研)

キーワード:那須火山、噴気地帯、高密度電気探査、比抵抗構造

茶臼岳は、那須火山群の中南部に位置する成層火山である。約16000年前に茶臼岳で火山活動が始まり(藤田,1988)、マグマ噴出を伴う6回の大きな活動と多数の水蒸気爆発が発生した。最後の活動は1408年~1410年の活動であり、山頂部に溶岩ドームが形成された。1881年7月1日の水蒸気爆発では、溶岩ドームの北西側と西側に火口が形成された(山元, 1997)。近年、これらの火口内で水蒸気爆発(1953年、1960年、1963年)が発生しており、現在は噴気地帯となっている(気象庁, 2013)。本研究では、この2ヶ所の噴気地帯において高密度電気探査を行い、詳細な地下の比抵抗構造を明らかにした。2ヶ所で実施した電気探査測線のうち、北西側を測線A(全長380m、電極間隔10m)、西側を測線B(全長300m、電極間隔10m)とし、各測線に対してウェンナー電極配列およびエルトラン電極配列の地下構造に対する感度の異なる2種類の測定を行った。測定データは、電極間隔の異なる見掛け比抵抗の分布に変換され、佐々木(1981)に基づいた非線形最小二乗法による有限要素法2次元インバージョンプログラムを使用して2次元比抵抗構造モデルを推定した。得られたモデルは、山元・伴(1997)の火山地質図およびAizawa et al.(2009)のAMT法による観測データと比較して考察を行った。その結果、高比抵抗帯は約10万年前の朝日岳火山の噴出物である安山岩溶岩及び火砕岩であると考えられた。また、低比抵抗帯は、表層で噴気や変質した岩石が見られることから、熱水流体またはそれにより変質した岩石であると考えた。測線Bの解析結果から、南側にも低比抵抗帯が見られ、これはAizawa et al.(2009)による観測データと整合的であった。今回の観測では、深部の良いデータがあまり得られず、浅部の比抵抗構造の解釈しかできなかった。今後はより深部、より広範囲での地下構造を推定し、熱水流体の存在を特定するために、溶岩ドーム全体でAMT観測を行う予定である。