日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] 活動的火山

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)、前田 裕太(名古屋大学)

17:15 〜 18:30

[SVC47-P09] 浅間山における2015年の活動

*和田 さやか1中村 政道1大塚 仁大1飯島 聖1 (1.気象庁)

キーワード:浅間山、噴火、地殻変動

浅間山では、2015年4月下旬頃から火山性地震が増加し、6月には二酸化硫黄の放出量が急増した。これらのことから火山活動が高まっていると考えられ、気象庁では2015年6月11日に噴火警戒レベルを1から2に引き上げた。その後、6月16日、19日にはごく小規模な噴火が発生した。本発表では、この噴火前後の活動を含め2015年の浅間山の火山活動について報告する。
2015年4月下旬頃から火山性地震が増加した。6月に地震回数はピークとなり、その後は減少傾向がみられている。二酸化硫黄の放出量は6月に増加し、その後減少傾向がみられるなど、地震活動との相関関係がみられている。また、6月16日以降には火映現象を時々観測するなど熱活動も高まった状態で経過している。
光波測距観測及び傾斜計による地殻変動観測では、2015年6月頃から変化が観測された。また、GNSSの観測では2015年5月頃から浅間山を挟む基線でわずかな伸びが観測されていた。傾斜計による地殻変動観測について6月から11月頃までの動きをみると、山体の西側を中心とするような膨張性の変動が確認された。そのため、茂木モデルを仮定しグリッドサーチによって膨張源を推定した。解析には火山用地殻活動解析支援ソフトウェアMaGCAP-V(気象研究所地震火山研究部、2008)を用いた。その結果、山体の西方に膨張源が推定された。GNSSの変動については、変動量が小さく評価が難しいが、傾斜計等の膨張源による変動よりも先行して始まっていることから、より深部の膨張源の存在を示唆している。
発表では、これらの2015年の活動について整理するとともに、過去の活動についても同様に整理し、2015年の活動との比較・考察を行う予定である。
謝辞:地殻データの解析には、国土地理院及び国立研究開発法人防災科学技術研究所のデータを使用させていただきました。また、気象研究所から火山用地殻活動解析支援ソフトウェアMaGCAP-V(気象研究所地震火山研究部,2008)を提供して頂きました。感謝申し上げます。