日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] 活動的火山

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)、前田 裕太(名古屋大学)

17:15 〜 18:30

[SVC47-P44] 気象庁の多成分火山ガス連続観測装置の整備

*高木 朗充1鳥巣 啓多2篠原 宏志3 (1.気象研究所火山研究部、2.気象庁地震火山部、3.産業技術総合研究所)

キーワード:多成分火山ガス装置、火山ガス、水蒸気噴火

火山活動の監視の一助となるよう,気象庁では多成分火山ガス連続観測装置を全国4カ所の火山に設置しテレメータを行う準備を進めている.草津白根山と吾妻山に1点ずつ設置が完了した(平成28年2月現在).今後,九重山と御嶽山に設置予定である.
本装置は,産業技術総合研究所で開発された可搬型装置(Shinohara, 2005)を固定点で連続観測テレメータできるように改良したものである.測定可能なガス成分はSO2,H2S,CO2,H2,H2Oの5つである.噴気孔に直接パイプを挿入してガス採取するものでなく,ガスが風に流され拡散した大気をポンプで吸引し測定するため,濃度の絶対値を測ることはできない.ただし,複数の成分を同時測定するため,組成比を把握することが可能である.火山活動により火山ガスの組成比の変化が,繰返し観測により検出された事例がある(例えば,Ossaka et al., 1980).しかし,長期に火山ガス濃度を連続観測した事例はきわめて少なく,本装置により複数の火山ガス成分を連続的に測定することで,火山活動の評価や水蒸気噴火の前駆現象の検出に対する有効な知見が蓄積されることが期待される.
装置は火山ガスが採取可能な火口近傍に設置する必要があり,商用電源や通信のための優先回線は整備されていないため,太陽パネルを使った独立電源システムと衛星携帯電話を使った伝送システムからなる.このため,24時間の連続観測を行うことは大規模な電源装置が必要なため,40分の定時測定を1日1回13:00に行う仕様となっている.ただし,基準濃度を上回った場合には,定時測定以外に最大で1日3回まで40分の臨時測定を行う.データ伝送は,測定後ただちに衛星携帯電話網で気象庁本庁のサーバーにFTPで伝送され,その後気象研究所と産業技術総合研究所転送される予定である.