17:15 〜 18:30
[SVC48-P19] カムチャツカ半島南部,黒曜石溶岩の内部構造
キーワード:カムチャツカ半島、黒曜石溶岩、内部構造
カムチャツカ半島南部(北緯 53˚2’10”,東経 157˚46’30”)には北北東〜南南西方向に約 400 m に渡って黒曜石溶岩が露出している.露出部分は全体として層厚が約 30 m であるが,垂直方向に連続しておらず,途中に水平面を挟んで上部・下部にそれぞれ層厚約 15 m で露出している.
黒曜石溶岩の内部構造については,Cas and Wright (1987) が溶岩の中央部に流紋岩層が発達し,その外側を黒曜石層が取り巻き,さらにその外側にあたる表層部に破砕層が発達する構造を示した.このような内部構造は,北海道白滝(Sano et al., 2015;和田・佐野,2015)やニュージーランドのタウポ火山帯(Stevenson et al., 1994)においても報告されている.
しかしながら,本研究で調査した露頭は複雑であり,上述のような典型的な内部構造とはやや違う構造を示している.上部層では最上部に流紋岩層があり,その下位に発泡した黒曜石層と緻密な黒曜石層が互層している.緻密な黒曜石層は層厚約 3 m で少なくとも 3 層確認できる.緻密な黒曜石層を水平方向にみると厚さ数 10 cm,幅数 10 m の発泡層がレンズ状に入る場合もある.発泡層は全体が発泡しているのではなく,数 cm〜数 10 cm の比較的緻密な黒曜石層をレンズ状に挟んでいる場合が多い.発泡層の層厚は 2〜3 m 程度で,少なくとも 3 層確認できる.下部層も発泡した層と黒曜石層が互層しているが,黒曜石層については上部層にある緻密な黒曜石層とは異なり,全体的に発泡した部分を多く含んでいる.発泡層は全体的に発泡している.黒曜石層は層厚約 3 m で 3 層確認でき,発泡層の層厚は 2 m 程度で黒曜石層の間に存在する.両者の境界は明瞭ではなく遷移的である.
本研究では,上部層にある緻密な黒曜石 3 層を上から B, D, E,下部層にある黒曜石層の 1 つを F として岩石試料の偏光顕微鏡観察,EPMA を用いてガラス組成を測定した.さらにカールフィッシャー水分計で含水量の測定を行った.
顕微鏡観察の結果,いずれの黒曜石も斑晶に乏しいが,すべてに共通して斜長石,黒雲母,マグネタイトの斑晶がわずかに含まれ,F についてはイルメナイトも含まれる.石基部分にはマグネタイトのマイクロライトが含まれ,その量については B > F > E > D の関係がある.ガラス組成については横軸に CaO,縦軸に FeO をとったグラフにおいて,B, D, E が明瞭に分類でき,FeO 量には D > E > B の関係がある.F については,D と E の中間的な組成で一部 D と E にオーバーラップしている.含水量は不均質で,E (0.5wt.%) > F (0.3~0.4wt.%) > B (0.2 wt.%以下) > D (0.1 wt.%以下) の関係がある.
以上のように黒曜石層は層毎にガラス組成および含水量が異なっており,異なるマグマ由来と考えられる.しかしながら,ガラス組成の FeO 量は石基マグネタイトの量と負の相関があり,石基マグネタイトとして晶出したためにガラスの FeO 量が減少したとも考えられる.したがって,ガラス組成の違いが単純に異なるマグマ由来にはならかいかもしれない.マグマの由来については今後さらに検討していく必要がある.
黒曜石溶岩の内部構造については,Cas and Wright (1987) が溶岩の中央部に流紋岩層が発達し,その外側を黒曜石層が取り巻き,さらにその外側にあたる表層部に破砕層が発達する構造を示した.このような内部構造は,北海道白滝(Sano et al., 2015;和田・佐野,2015)やニュージーランドのタウポ火山帯(Stevenson et al., 1994)においても報告されている.
しかしながら,本研究で調査した露頭は複雑であり,上述のような典型的な内部構造とはやや違う構造を示している.上部層では最上部に流紋岩層があり,その下位に発泡した黒曜石層と緻密な黒曜石層が互層している.緻密な黒曜石層は層厚約 3 m で少なくとも 3 層確認できる.緻密な黒曜石層を水平方向にみると厚さ数 10 cm,幅数 10 m の発泡層がレンズ状に入る場合もある.発泡層は全体が発泡しているのではなく,数 cm〜数 10 cm の比較的緻密な黒曜石層をレンズ状に挟んでいる場合が多い.発泡層の層厚は 2〜3 m 程度で,少なくとも 3 層確認できる.下部層も発泡した層と黒曜石層が互層しているが,黒曜石層については上部層にある緻密な黒曜石層とは異なり,全体的に発泡した部分を多く含んでいる.発泡層は全体的に発泡している.黒曜石層は層厚約 3 m で 3 層確認でき,発泡層の層厚は 2 m 程度で黒曜石層の間に存在する.両者の境界は明瞭ではなく遷移的である.
本研究では,上部層にある緻密な黒曜石 3 層を上から B, D, E,下部層にある黒曜石層の 1 つを F として岩石試料の偏光顕微鏡観察,EPMA を用いてガラス組成を測定した.さらにカールフィッシャー水分計で含水量の測定を行った.
顕微鏡観察の結果,いずれの黒曜石も斑晶に乏しいが,すべてに共通して斜長石,黒雲母,マグネタイトの斑晶がわずかに含まれ,F についてはイルメナイトも含まれる.石基部分にはマグネタイトのマイクロライトが含まれ,その量については B > F > E > D の関係がある.ガラス組成については横軸に CaO,縦軸に FeO をとったグラフにおいて,B, D, E が明瞭に分類でき,FeO 量には D > E > B の関係がある.F については,D と E の中間的な組成で一部 D と E にオーバーラップしている.含水量は不均質で,E (0.5wt.%) > F (0.3~0.4wt.%) > B (0.2 wt.%以下) > D (0.1 wt.%以下) の関係がある.
以上のように黒曜石層は層毎にガラス組成および含水量が異なっており,異なるマグマ由来と考えられる.しかしながら,ガラス組成の FeO 量は石基マグネタイトの量と負の相関があり,石基マグネタイトとして晶出したためにガラスの FeO 量が減少したとも考えられる.したがって,ガラス組成の違いが単純に異なるマグマ由来にはならかいかもしれない.マグマの由来については今後さらに検討していく必要がある.