日本地球惑星科学連合2016年大会

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[U-06] 大型研究計画-マスタープラン2017とその先を見据えて

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:20 102 (1F)

コンビーナ:*大久保 修平(東京大学地震研究所)、藤井 良一(名古屋大学)、永原 裕子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、津田 敏隆(京都大学生存圏研究所)、木村 学(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:藤井 良一(名古屋大学)

14:28 〜 14:41

[U06-05] 高圧地球惑星科学コンソーシアム

★招待講演

*入舩 徹男1 (1.愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

キーワード:高圧地球科学、量子ビーム、コンソーシアム

高圧地球惑星科学分野における代表的研究拠点である、愛媛大学・東北大学・東京大学・東京工業大学を中核とした、超高圧と量子ビーム(放射光・中性子線など)を利用した共同研究・人材育成のためのコンソーシアムを形成する。コンソーシアム主導で、(1)SPring-8の高度化に対応した新しい地球惑星科学ビームライン(以下BL)の建設、(2)既存の放射光施設(SPring-8, PF)・X線自由電子レーザー施設(SACLA)・中性子実験施設(J-PARC)における地球惑星科学関連BLの高度化、(3)中核拠点における超大型高圧合成装置の建設、などを進める。
これらの大型設備・施設の建設や高度化のみならず、各施設に博士研究員・高度技術員を配置しその維持管理と運用、実験技術の開発や研究支援とコンソーシアムの運用支援を行い、設備の有効利用とともに技術・人材交流や新たな学際的共同研究を促進する。また、愛媛大学で開発されたナノ多結晶ダイヤモンドを応用した新しい超高圧実験技術を推進するとともに、これらの新素材を利用した超高圧装置や、新しい実験技術の開発を進める。
コンソーシアムによる大型実験装置や設備の設置とその活用により、特に(1)地球深部の化学組成と始原物質、(2)高圧下での変形・破壊現象と深発地震の原因、(3)マントルと核のダイナミクスと進化、(4)地球表層と深部の物質循環、(5)太陽系惑星及び系外惑星内部の物質と進化、などに焦点をあてた先端研究を推進する。またコンソーシアムを基盤に、地球惑星科学の他分野はもとより、材料科学・物性物理学・無機化学・分析化学・生命科学分野等との学際的研究の展開も目指す。
本コンソーシアムの提言は、学術の大型研究計画マスタープラン2014において、地球惑星科学分野に対して策定された13課題のうちの一つである。この間、計画の中心である愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)は、共同利用・共同研究拠点「先進超高圧科学研究拠点」(PRIUS)として文科省の認定を受けたが、平成28年度からの国立大学法人化第三期においても再認定を受け、超高圧地球科学及び関連分野の我が国の共同拠点としての機能を強めている。一方で、GRCを中核とした新学術領域研究「核-マントル相互作用と共進化」が平成27年度に採択され、超高圧科学分野を中心に、地球化学、岩石・鉱物学、地震学、電磁気学、地球ダイナミクス、物性・素粒子物理学などの幅広い分野を取り込み、地球惑星科学分野における新しい学術領域の創成を目指した取り組みが開始された。また中核拠点の一つである東北大学においては、平成28年度からヨーロッパの高圧地球科学の中心であるBGIとの国際共同大学院を設置し、高圧地球科学分野の国際連携を開始し人材育成活動を強化している。
マスタープラン2014策定から2年ほどの間のこのような状況の変化や、量子ビーム関連施設建設・高度化に関連した動きに鑑み、今回の改定においては前回の提案に対して主に以下の点において変更を加える。(1)BLの建設についてはSPring-8の改造計画(Spring-8 II建設計画)に対応して新BL設置に絞るなど予算面において前回(約130億円)の半分程度に絞り込む、(2)共同利用・共同研究拠点としての実績を積んでいるGRC(PRIUS)をコンソーシアムの中心と位置付ける、(3)新学術領域研究を発展させ、地球化学、岩石・鉱物学、地震学、電磁気学、地球ダイナミクス、物性・素粒子物理学等、より幅広い分野の研究者を取り込んだ計画とする、(4)4つの中核拠点の国際的な研究教育活動の実績を踏まえ、国際連携・人材育成活動の強化を行う。なお、申請にあたっては状況に応じて上記分野等からの提案との連携や合同にも柔軟に対応する。