日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

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[U-06] 大型研究計画-マスタープラン2017とその先を見据えて

2016年5月24日(火) 15:30 〜 16:55 102 (1F)

コンビーナ:*大久保 修平(東京大学地震研究所)、藤井 良一(名古屋大学)、永原 裕子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、津田 敏隆(京都大学生存圏研究所)、木村 学(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:大久保 修平(東京大学地震研究所)

15:56 〜 16:09

[U06-11] 極低雑音・大口径ミューオン検出器アレイによる、火山ダイナミクス統合研究計画

★招待講演

*田中 宏幸1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:ミュオン、ミュオグラフィ、マグマ、火山、イメージング

火山噴火におけるマグマの移動様式についてはまだよく理解されていない部分が多い。たとえば板状に貫入するマグマが火山表層部では管状の火道に変化する理由や爆発的な噴火と非爆発的な噴火を分けるメカニズムなどがその例として挙げられる。これらの理解が火山活動がどのような経過をたどり、いつ終息するかについての予測を与えるが、地震波観測や地殻変動等の従来の地球物理手法では得られる情報が限られる。したがって、より直接的な火山「内部」の診断が必要である。そこで、特に浅部のマグマダイナミクスの理解に直接的な情報を与えると期待されるのが、高空間分解能で巨大物体内部を描き出す素粒子透視法である。宇宙から到来する宇宙線に起源をもつ素粒子ミュオンを利用した巨大物体の透視技術「ミュオグラフィ」を使えば火山内部の密度プロファイルを詳細にイメージングできる。2008年の薩摩硫黄島の観測では、火道内マグマ対流を示唆する発泡マグマのイメージングに、また2013年には噴火に伴うマグマの上下動を可視化することに成功している。しかし、従来のミュオグラフィでは2次元平面に投影した画像しか得られていない。また、時間分解能も3日と限られる。本提案は超低雑音・超高位置分解能型革新的ミュオグラフィ観測装置をアレイ状に配置することで従来技術を飛躍的に発展させ、超高時空間分解能3次元イメージングを可能にするものである。すでに、薩摩硫黄島の観測において、性能が実証されている開発中のテストモジュールの位置分解能を向上させ、火山の周囲に配することで、これまで固体地球科学分野では実現できていない、メディカルイメージングに迫る、極めて高解像度の3次元画像の動画が得られる。本ミュオグラフィ技術が確立することで、地下構造のイメージング、惑星探査、また歴史遺産の内部構造調査など他の地球惑星科学分野への技術的な波及も期待される。さらに、ミュオグラフィの原子炉や産業プラントインスペクションへの応用に対する社会の期待も高い。