日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-06] 大型研究計画-マスタープラン2017とその先を見据えて

2016年5月24日(火) 15:30 〜 16:55 102 (1F)

コンビーナ:*大久保 修平(東京大学地震研究所)、藤井 良一(名古屋大学)、永原 裕子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、津田 敏隆(京都大学生存圏研究所)、木村 学(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:大久保 修平(東京大学地震研究所)

16:22 〜 16:35

[U06-13] 太陽系生命前駆環境の実証的解明のための統合研究プログラム

★招待講演

*倉本 圭1 (1.北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻)

キーワード:太陽系探査、惑星科学

生命誕生に至るまでの惑星環境の様態と物質進化過程を解明することが、来る百年の惑星科学の大目標である。小惑星探査機「はやぶさ」や月周回衛星「かぐや」の成功により、本格的な太陽系探査に参入した我が国は、プロジェクトを推進する宇宙科学研究所(ISAS)を機器開発や科学検討の面で支える周辺拠点を充実させるべき段階にある。そこで、国際協力のもと、魅力的で実現性の高い太陽系探査プログラムを立案し、それに必要な次世代機器の開発を戦略的に進めるとともに、データ解析・モデリング及び宇宙物質分析研究を有機的に連携させ、実践的な人材育成・交流が展開できる多拠点ネットワーク型の「惑星科学研究コンソーシアム」を、ISASを取り巻く形で構築することをめざす。
本統合研究プログラムの科学目標は以下のように整理される:(1) 生命前駆物質の形成・進化、(2) 惑星材料物質・生命前駆物質の分布・移動、天体への供給、(3) 地下熱水環境:鉱物―水―有機物反応系、(4) 大気(海洋)散逸・光化学反応、(5) 惑星・衛星の形成・初期分化。これらを、惑星探査計画の戦略的な推進により解明する。
次期戦略的中型探査計画「火星衛星探査計画MMX」において、火星衛星の起源をその場リモートセンシングとリターンサンプル顕微解剖学研究により解明する。そのための搭載機器開発と分析システム整備を進め、外惑星領域から内惑星領域への物質輸送ならびに最も地球に似る表層環境を有する火星の形成と進化に最大限の情報を引き出すモデリング研究、探査シナリオ構築を行う。MMXに先行する、現在飛翔中のC型小惑星サンプルリターン計画「はやぶさ2」により、鉱物・水との相互作用による有機物進化を解明する。国際共同探査計画「JUICE」において、原始地球海洋に似る内部海を氷下に保持するとされる木星巨大氷衛星のモデリングと探査シナリオ構築、搭載機器開発を推進し、科学成果の最大化を目指す。また、世界最高品質をもつ「かぐや」の月全球リモートセンシングデータに基づき、月・地球系への小天体供給率の変遷とその供給源を解明し、新物質生成をもたらす衝突現象を探る。水星と金星を含む天体システムのモデリング研究と探査観測技術の開発を進め、次期探査計画の定量的立案を行う。
関連周辺分野からの幅広い連携協力の継続が必須である太陽系探査の特性に鑑み、優れた特色ある資産を有する研究グループを拠点として拡充整備するとともに、コミュニティへ共同教育研究支援サービス機能を提供することにより、全国に分散する研究者の有機的な結合を図って研究推進体制を発展させていく。
https://www.wakusei.jp/~shourai/for_all/2016/index.html