日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 大気化学

2018年5月24日(木) 09:00 〜 10:30 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、豊田 栄(東京工業大学物質理工学院、共同)、江口 菜穂(Kyushu University)、座長:池田 恒平(国立環境研究所)

10:15 〜 10:30

[AAS06-11] 混合状態の多様性によるブラックカーボンの放射効果の不確定性

*松井 仁志1Douglas Hamilton2Natalie Mahowald2 (1.名古屋大学大学院環境学研究科、2.コーネル大学地球大気科学分野)

キーワード:ブラックカーボン、混合状態、粒径分布、放射効果、全球エアロゾルモデル

大気中のブラックカーボン(BC)エアロゾルは、地球の気候に対して大きな加熱効果を持つと考えられているが、その不確定性は依然として大きい。BCの大気中の寿命や太陽放射の吸収効率は、BC粒子の粒径分布や混合状態(各粒子の化学組成)に強く依存する。しかしながら、これらのパラメータを十分に表現できる全球エアロゾルモデルはほとんどない。本研究では、我々が開発してきた粒径分布と混合状態を解像する全球エアロゾルモデルを用いて、エアロゾルの排出時の粒径分布の不確定性が、BCの放射効果の推定において大きな不確定要因となることを示す。このBC放射効果の不確定性は、一般的な全球エアロゾルモデルでは考慮できない新たな不確定性であり、単一の混合状態を仮定して計算した場合の不確定性に比べて5-9倍大きい。また、その不確定性幅は、全球エアロゾルモデルの相互比較プロジェクトにおけるBC放射効果のモデル間のばらつきに匹敵する。これらの結果は、BCの加熱効果とその気候システムとの相互作用を精度良く推定する上で、BCの混合状態の多様性(BCのみの粒子、BCを含まない粒子、被覆の多いBC粒子、被服の少ないBC粒子など)を考慮することの重要性を示している。