日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 大気化学

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、豊田 栄(東京工業大学物質理工学院、共同)、江口 菜穂(Kyushu University)

[AAS06-P19] 南米チリ・アルゼンチンにおける大気環境リスク管理システム開発プロジェクトの成果

*水野 亮1杉本 伸夫2大山 博史2神 慶孝2杉田 考史2秋吉 英治2長濵 智生1中島 拓2西澤 智明2清水 厚2Walfram Elian3Ristori Pablo3Quel Eduardo3Salvador Jacobo3Balbero Albane4Papandrea Sebastian4Bali Lucas3Ciminari Hernan4Zamorano Felix5Balja Boris5Sanchez Solangera6Lazcano Luis6 (1.名古屋大学宇宙地球環境研究所、2.国立環境研究所、3.CEILAP、4.National Meteorological Service Argentina、5.University of Magallanes、6.National Meteorological Service Chile)

キーワード:ozone、UV、aerosol

2013年から5年計画でJST-JICA SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)プログラムの下で進めてきたチリ・アルゼンチンとの国際共同プロジェクト SAVER-Netプロジェクトが完結した。このプロジェクトは、先端的観測施設の空白域である南米地域での地上大気観測網、特にオゾン・紫外線およびエアロゾルの観測網をアルゼンチンおよびチリとの国際協力の下で整備した。紫外線観測に関しては、チリおよびアルゼンチン気象局の既設の低分散紫外線放射計および本プロジェクトで新設した紫外線放射計、計38台のデータ形式を統一してオンラインで統合し、観測データを公開するためのプラットフォームGeoUVを完成させた。オゾンに関しては、南米南端部に位置するリオ・ガジェゴスの南部パタゴニア大気観測所(OAPA)で差分吸収ライダー、ミリ波分光計、ブリューワ―分光計、オゾンゾンデ等を用いたモニター観測を行うとともにオゾンホールの崩壊時期に集中キャンペーン観測を行い、極渦内外および境界領域におけるオゾンの鉛直分布の変動の様子を捉えた。エアロゾルについては計9台の3波長ライダー(355nm, 562nm, 1064nm)の広域観測網を整備した。9台のうち8台は偏光解消度測定機能のついたライダーで内2台はヨウ素セルを用いた高スペクトル分解ライダー、残りの1台は偏光解消度測定機能の無いラマンライダーである。同ライダー網では2015年4月末に噴火したカルブコ火山の火山灰プルームがアルゼンチン首都のブエノスアイレスまで到来したイベントを検出しており、相手国気象局が輸送モデルFALL_3Dを用いて計算した結果との比較も進めた。

観測網で取得されたデータはアルゼンチンのデータセンターに集約し、そのミラーサーバをチリと日本で稼働させる。プロジェクト終了後もモニタリング観測は継続し、アーカイブデータを公開していきたいと考えている。

発表では、5年間の成果の報告等を行ない、今後のこの国際協力の発展可能性について議論する予定である。