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[AAS07-18] 2018年2月に発生した過去最大級の北極成層圏突然昇温について
キーワード:中層大気、成層圏突然昇温、2018年2月
2018年2月18日現在、過去最大級の北極突然昇温現象が進行中である。2月14日までのAura MLSによる気温・ジオポテンシャルハイトデータ、2月15日までの気象庁による成層圏速報図、2月27日までのECMWFによる予想図で確認できる特徴を報告する。この突然昇温は波数2型であり、2月12日に大昇温の基準を満たした。そして最短でも2月27日まで大昇温の基準が満たされる状態が予想されている。
北半球高緯度成層圏の東風は強く、2月14日には北緯約60度で約40m/sに達している。また、東風の低緯度への広がりも大きく、2月15日には高度約35km(5hPa)において、北緯40度に及んでいる。東風の10m/sの等値線は、少なくとも高度80kmの上部中間圏まで達しており、他方で、対流圏でも北緯70度以北で地上付近まで5m/sに達する東風が確認される。このように、今回の突然昇温に伴う東風は高度範囲、緯度範囲とも広いのが特色である。
この突然昇温を引き起こしたと考えられるロスビー波に伴う上向きEPフラックスは、100hPa において2月3日ごろから強くなり、2月6~12日で最大となって、強い状態は2月15日現在まで継続している。興味深いのは、2月12~15日に見られる強い東風領域においても上向きの強いEPフラックスがみられることである。これは一見、Charney&Drazinの定理に反する特徴である。おそらくロスビー波が伝播できる経度帯が存在することの反映と考えられ、今後データがそろえば、3次元波活動度フラックスの解析により解明できると思われる。また、10hPa~5hPa、北緯40°より低緯度では、比較的強い赤道向きのEPフラックスがみられる。これは、上記中高緯度に広がる東風に伴うロスビー波の屈折率の反映と考えられ、赤道成層圏準2年周期振動などの現象に影響する可能性がある。さらに、この突然昇温の規模は、2006、2009、2013年に起こった成層圏ジャンプを伴うイベントに匹敵する大きなもので、今後同様に成層圏ジャンプがみられる可能性もある。
連合大会までは解析に必要なデータがすべてそろうため、この突然昇温イベント全体の詳しい特徴について報告することができると考えている。また、国際共同観測として、中間圏の高解像レーダーネットワーク観測も行われており、突然昇温にともなう中間圏変動に支配的な重力波の変調に関する特徴も捉えられる可能性がある。
北半球高緯度成層圏の東風は強く、2月14日には北緯約60度で約40m/sに達している。また、東風の低緯度への広がりも大きく、2月15日には高度約35km(5hPa)において、北緯40度に及んでいる。東風の10m/sの等値線は、少なくとも高度80kmの上部中間圏まで達しており、他方で、対流圏でも北緯70度以北で地上付近まで5m/sに達する東風が確認される。このように、今回の突然昇温に伴う東風は高度範囲、緯度範囲とも広いのが特色である。
この突然昇温を引き起こしたと考えられるロスビー波に伴う上向きEPフラックスは、100hPa において2月3日ごろから強くなり、2月6~12日で最大となって、強い状態は2月15日現在まで継続している。興味深いのは、2月12~15日に見られる強い東風領域においても上向きの強いEPフラックスがみられることである。これは一見、Charney&Drazinの定理に反する特徴である。おそらくロスビー波が伝播できる経度帯が存在することの反映と考えられ、今後データがそろえば、3次元波活動度フラックスの解析により解明できると思われる。また、10hPa~5hPa、北緯40°より低緯度では、比較的強い赤道向きのEPフラックスがみられる。これは、上記中高緯度に広がる東風に伴うロスビー波の屈折率の反映と考えられ、赤道成層圏準2年周期振動などの現象に影響する可能性がある。さらに、この突然昇温の規模は、2006、2009、2013年に起こった成層圏ジャンプを伴うイベントに匹敵する大きなもので、今後同様に成層圏ジャンプがみられる可能性もある。
連合大会までは解析に必要なデータがすべてそろうため、この突然昇温イベント全体の詳しい特徴について報告することができると考えている。また、国際共同観測として、中間圏の高解像レーダーネットワーク観測も行われており、突然昇温にともなう中間圏変動に支配的な重力波の変調に関する特徴も捉えられる可能性がある。