日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS07] 成層圏・対流圏過程とその気候への影響

2018年5月23日(水) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:渡辺 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、河谷 芳雄(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、関谷 高志(国立研究開発法人 海洋研究開発機構、共同)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)

[AAS07-P08] 低オゾンイベント出現の温室効果ガス濃度依存性に関する化学気候モデルを用いたアンサンブル実験

*秋吉 英治1門脇 正尚2山下 陽介3 (1.国立環境研究所、2.日本原子力研究開発機構、3.海洋研究開発機構)

キーワード:オゾン、温室効果ガス、アンサンブル実験、化学気候モデル

オゾン濃度のオゾン破壊物質(ODS)濃度依存性はよく知られており、また、理解も進んでいるが、その温室効果ガス(GHG)濃度依存性ははっきりとしない部分がまだ多く残されている。これまでの化学気候モデルによる将来予測により、将来のODS濃度の減少とGHG濃度の増加によって、中高緯度のオゾン量は増加することが示されているが、例えば、ODS濃度がピークから少し下がった2011年に北極で極端なオゾン破壊が突然出現したように、ODS、GHG濃度との関係は必ずしも明確ではない。ODSのみならず極渦の安定性に関係していることが示唆され、大気の力学場にGHG濃度が絡んでいるのかもしれない。
そこで本研究では、オゾン量のGHG濃度依存性を明らかにするため、MIROC3.2化学気候モデルを用い、ODS濃度とGHG濃度を過去あるいは将来考えられる値に設定したアンサンブル実験を行った。その結果、中高緯度域で220DU以下になるような低いオゾン量の出現は、ODS濃度が高い場合、GHG濃度が増加してもなくならず、頻度は低いが存在し続けることがわかった。このようなアンサンブルメンバーについて、循環、気温、大気微量成分の分布を、アンサンブル平均と比較しながら議論する。