日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC29] アイスコアと古環境モデリング

2018年5月22日(火) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:植村 立(琉球大学 理学部)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所、共同)、竹内 望(千葉大学)

[ACC29-P11] ハインリッヒイベントのCO2変動に対する鉄循環の寄与

*山本 彬友1阿部 彩子2,1 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、2.東京大学 大気海洋研究所)

キーワード:海洋炭素循環、氷期-間氷期サイクル、鉄循環、海洋物質循環モデル

ハインリッヒイベント では大気CO2濃度が10-20ppm上昇していることがアイスコアデータから報告されている(Ahn and Brook, 2008など)。大西洋子午面循環(AMOC)の弱化に伴う海洋炭素循環の変動が大気CO2濃度の上昇を引き起こしたと考えられているが、先行研究ではモデル間でAMOC弱化に伴う海洋炭素循環の応答が異なる。一方で近年の観測から、南大洋においてダスト由来の鉄供給の減少に伴う生物生産が示されており、鉄供給の変化がハインリッヒイベント のCO2上昇に寄与した可能性が指摘されている(Martínez-García et al., 2014など)。しかし、モデルを用いた先行研究ではダスト由来の鉄供給の変化を考慮していない。本研究は従来のAMOCの弱化に加え、ダスト由来の鉄供給の減少が海洋炭素循環に及ぼす影響を評価した。AMOCの弱化のみを考慮した場合には大気CO2濃度は1000年かけて0.5ppm減少した. 一方、AMOC弱化に加えてダスト由来の鉄供給も減少させた場合は16ppm増加し、アイスコアデータと整合的な結果が得られた。鉄供給の減少に伴う南大洋における生物生産の減少は深海に蓄積されていた炭素を放出し、大気CO2濃度の上昇を引き起こした。また、南大洋における生物生産の減少は同時に南極底層水の溶存酸素濃度を増加させ、proxyデータと整合的となった。