日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC29] アイスコアと古環境モデリング

2018年5月22日(火) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:植村 立(琉球大学 理学部)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所、共同)、竹内 望(千葉大学)

[ACC29-P12] バイポーラ―シーソーに基づくダンスガード・オシュガーサイクルのシンプルモデル

*三ツ井 孝仁1阿部 彩子1シェリフ多田野 サム1陳 永利1 (1.東京大学)

キーワード:ダンスガード・オシュガーイベント、バイポーラーシーソー、大気海洋結合モデル、シンプルモデル

氷期の北大西洋域ではダンスガード・オシュガーサイクル(以下DOサイクル)と呼ばれる急激な気候変動が繰り返し発生していた(Dansgaard et al., Nature, 1993)。また、南極域ではDOイベントと逆向きに温暖化・寒冷化が生じていたことがわかっている(Blunier et al., Nature, 1998; Dome Fuji Ice Core Project Members., Science Adv., 2017)。この両半球で逆向きの温暖化・寒冷化の動きは バイポーラ― シーソーと呼ばれている(Crowley, Paleoceanography, 1992; Broecker, Paleoceanography, 1998)。一般的には、北大西洋域の気候変動が、バイポーラ― シーソーを通じて南半球の気候変動を駆動していると見られているが(Stocker and Johnsen, Paleoceanography, 2003; WAIS Divide Project Members, Nature, 2015)、その逆向きの影響についてははっきりしていない。 最近、大気海洋結合モデル(MIROC4m AOGCM)において、DOイベントに似た自励振動が有限のパラメータ領域で生じることが発見された(阿部, JpGU2018大会予稿)。この自励振動の発生にはバイポーラ―シーソーを介した南大洋の変化が重要であることが示唆されて来ている(阿部, JpGU2018大会予稿)。しかし、これまでに提案されたDOサイクルのシンプルモデルの多くは北大西洋に焦点があり、バイポーラーシーソーを考慮したものは殆どない。我々は、AOGCM実験に基づき、海洋ボックスモデルにバイポーラーシーソーメカニズムを取り入れたDOサイクルの簡単なモデルを提案する。このモデルの解析から、DOサイクルの周期がバイポーラーシーソーの時定数τに強く関係している可能性が示唆されたので報告する。