日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG34] 中緯度海洋と大気

2018年5月21日(月) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:西川 はつみ(北海道大学 低温科学研究所)、佐々木 克徳(Hokkaido University)、岡島 悟(東京大学先端科学技術研究センター、共同)、Thomas Spengler(University of Bergen)、座長:宮本 歩Leonidas Tsopouridis

14:30 〜 14:45

[ACG34-04] 北太平洋の海霧の気候変動に伴う変化

*川合 秀明1神代 剛1遠藤 洋和1荒川 理2 (1.気象研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:海霧、中緯度、気候変動、大気海洋相互作用、CMIP5

海霧は、中緯度海洋上で頻繁に発生し、また、大気と海洋が接する場所で発生するため、中緯度大気海洋相互作用が最も直接的に現れる現象の一つである。北太平洋の海霧のほとんどは、冷たい海洋上を温かい南風が吹く際に、暖気に含まれる水蒸気が海面によって冷やされて凝結することで生じる移流霧である。本発表では、気候変動に伴い、この海霧分布がどのように変化するか、及び、そのメカニズムについて、CMIP5マルチモデルデータ(ただし、SSTを与えた大気モデルシミュレーションの結果)を用いて明らかにした結果を報告する。

 調査の結果、北太平洋の高気圧の変化と、北太平洋の海霧分布の変化には、極めて明瞭な関係があることが示された。例えば、SSTを上昇させた場合には、北太平洋の高気圧は弱化し、それに伴い、北太平洋西部では南風が弱まることで海霧が減少し、東部では南風が強まることで海霧が増加する(Fig. 1)。CMIP5のほとんど全てのモデルでこうした変化は一致しており、信頼性は非常に高いと言える。余裕があれば、SSTを変えずに二酸化炭素を増加させた理想化した気候状態における海霧の変化についても合わせて議論する。