16:15 〜 16:30
[ACG36-10] 衛星降雨推定プロダクトに対するひまわり8号高頻度観測の活用
キーワード:降水、GSMaP、ひまわり8号
全球衛星降水マップ(GSMaP)は低軌道衛星に搭載されたマイクロ波放射計(MWR)と静止気象衛星(GEO)に搭載された赤外(IR)放射計を使用して、1時間毎に全球の降雨強度を推定可能なプロダクトです。 GSMaPはGEO IR観測を用いて降水雲の移動ベクトルを計算し、MWRによって観測された降雨域の移動先を推定することでMWR観測網の隙間を補完している。 このGEO IRを用いた降雨の補完法はより雲頂高度の高い雲ほど強い降雨をもたらすという仮定に基づいているため、浅い雲の降雨強度を過小評価する問題が報告されている。 2014年10月にヒマワリ8号が打ち上げられ、静止気象衛星の利用できる観測バンドが従来の2~3チャンネルから9チャンネルへと劇的に増加しました。 本研究ではこのひまわり8号赤外マルチチャンネル観測を活用し、ひまわり降雨推定アルゴリズム(HRA)と呼ばれる高頻度降雨推定データを作成した。 HRAを作成するためにランダムフォレスト機械学習法を使用し、降雨の真値として全球降水量観測計画(GPM)主衛星のKuバンド降水レーダ(KuPR)の観測データを使用した。
関東東北豪雨の事例を用いて、HRAとレーダアメダス解析雨量の結果を比較した。 地上レーダーの結果では関東付近で浅い雲からの非常に豪雨が観測されたが、GSMaP_IRはMWR観測なしでは豪雨を推定することができなかった。 逆にHRAの推定降雨強度は地上レーダーの結果とよく一致していた。 また統計解析の結果からひまわり8号で新たに搭載された従来より低い高度の水蒸気に感度がある6.9μmバンドが浅い雲からの豪雨を推定する上で重要な役割を果たしていることが分かった。
HRAは地上レーダーと比較して降雨強度を最大で約3 mm h -1過小評価するという問題が残っていた。先行研究はIRバンドから得られた雲頂温度の極小値などの様々な指標が、レーダーによって観測されたファーストエコーの発生よりも30~40分早く現れることを示した(Roberts et al. 2002; Kondo et al. 2006; Mecikaiskiet al. 2006; Walker et al. 2012; Senf and Deneke 2017)。彼らは対流雲の発達段階に関する情報を用いて対流雲を早期に検出し、降雨推定精度を改善する可能性を実証した。RF機械学習法は上記の指標を容易に取り入れることが可能である。当日は時間変化情報を取り込むことによってHRAの推定精度がどの程度向上したのかについても説明する。
本研究は宇宙航空研究開発機構(JAXA)第8回降水量測定ミッション研究の助成を受けており、ひまわり8号 グリッドデータは千葉大学環境リモートセンシング研究センターで提供されたものである。
関東東北豪雨の事例を用いて、HRAとレーダアメダス解析雨量の結果を比較した。 地上レーダーの結果では関東付近で浅い雲からの非常に豪雨が観測されたが、GSMaP_IRはMWR観測なしでは豪雨を推定することができなかった。 逆にHRAの推定降雨強度は地上レーダーの結果とよく一致していた。 また統計解析の結果からひまわり8号で新たに搭載された従来より低い高度の水蒸気に感度がある6.9μmバンドが浅い雲からの豪雨を推定する上で重要な役割を果たしていることが分かった。
HRAは地上レーダーと比較して降雨強度を最大で約3 mm h -1過小評価するという問題が残っていた。先行研究はIRバンドから得られた雲頂温度の極小値などの様々な指標が、レーダーによって観測されたファーストエコーの発生よりも30~40分早く現れることを示した(Roberts et al. 2002; Kondo et al. 2006; Mecikaiskiet al. 2006; Walker et al. 2012; Senf and Deneke 2017)。彼らは対流雲の発達段階に関する情報を用いて対流雲を早期に検出し、降雨推定精度を改善する可能性を実証した。RF機械学習法は上記の指標を容易に取り入れることが可能である。当日は時間変化情報を取り込むことによってHRAの推定精度がどの程度向上したのかについても説明する。
本研究は宇宙航空研究開発機構(JAXA)第8回降水量測定ミッション研究の助成を受けており、ひまわり8号 グリッドデータは千葉大学環境リモートセンシング研究センターで提供されたものである。