日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG38] 北極域の科学

2018年5月24日(木) 09:00 〜 10:30 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:津滝 俊(東京大学)、漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター、共同)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、座長:鄭 俊介(北海道大学 北極域研究センター)

10:15 〜 10:30

[ACG38-06] 軌道要素と大気CO2起源の温暖気候における極域増幅に対する植生効果の季節フィードバック解析

*大石 龍太1木野 佳音1阿部 彩子1,2吉森 正和3鈴木 まりな4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.海洋開発研究機構、3.北海道大学地球環境科学研究院, 国際連携研究教育局, 北極域研究センター、4.北海道大学地球環境科学研究院)

キーワード:極域増幅、植生フィードバック、古気候モデリング

約6,000年前の完新世中期(6ka)と約127,000年前の最終間氷期(127ka)には、現在と異なる地球の軌道要素によって温暖であったことが古環境指標から示されている(Otto-Bliesner et al. 2013)。この両方の時代において、高緯度の温暖化が全球平均より大きい、いわゆる極域増幅が、温暖化予測大気CO2を増加させる将来シナリオに基づく温暖化予測と同様に起きていたと考えられている。O’ishi and Abe-Ouchi (2011)では植生結合した大気大循環モデルを用いて6kaの温暖化における植生効果の寄与を定量化し、高緯度の温度変化再現には植生の変化が重要であることを示した。本研究では、O’ishi and Abe-Ouchi (2011)で用いた植生結合大気大循環モデルを用いて、6ka, 127kaおよび大気CO2倍増実験を行い、Lu and Cai (2009)のフィードバック解析手法を用いて植生効果の有無によるフィードバックメカニズムの違いをより詳細に明らかにした。その結果、どの場合でも植生効果によって極域増幅が強化されたが、軌道要素起源の場合は植生効果の寄与割合がより大きかった。