日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG38] 北極域の科学

2018年5月24日(木) 15:30 〜 17:00 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:津滝 俊(東京大学)、漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター、共同)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、座長:漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、津滝 俊(東京大学大気海洋研究所)

15:30 〜 15:45

[ACG38-13] Synoptic Arctic Survey (SAS): 北極海同時広域観測研究計画

*Kikuchi Takashi1西野 茂人1川合 美千代2村田 昌彦1松野 孝平3渡邉 英嗣1 (1.海洋研究開発機構、2.東京海洋大学、3.北海道大学)

キーワード:北極海、観測研究計画、海洋環境の変化、物理的な駆動力、生態系応答、炭素循環と海洋酸性化

地球温暖化の影響で以前とは異なる環境となったと言われる北極海域で、特に中長期の変化に関して海洋の影響が重要であることが観測からもモデル計算の結果からも示唆されている。しかしながら、現在および将来の状況を高精度で理解するために必要とされる観測データは非常に限られている。
SYNOPTIC ARCTIC SURVEY (SAS)は、研究者からの発案による北極海における観測研究構想で、 2020年(もしくは2021年)の夏季に国際連携による複数の砕氷船/研究船を用いた北極海をカバーする集中観測を実施しようとするものである。そのゴールは、北極海の包括的なデータセットを作成し、近年の急速な環境変化に伴って広く興味を持たれている北極海の海洋物理環境や循環の変化、二酸化炭素の取り込みや海洋酸性化の進行状況、化学物質の分布と輸送、そして生物生産性や海洋生態系の変化を明らかにすることにある。SASによる包括的なデータセットは、今後数年、数十年、数世紀にわたって北極に広がる気候変化とその影響を追跡することができる将来の研究のための唯一かつ決定的に必要とされる基礎を与える。
SASの実施に向けて、これまでに複数回のワークショップを行い、Science and Implementation Planを作成してきた。このScience and Implementation Planを基にして、現在は各国でSAS National Teamを結成し、実施に向けた準備を進めている。2018年1月にスウェーデンに続いて、日本でも第5回国際北極科学シンポジウム(ISAR-5)の際に会合を行い、Japan’s SAS National Teamを結成している。またSASのために、海洋地球研究船「みらい」による太平洋側北極海でのGO-SHIP型の観測航海を計画している。本発表では、SASの概要と、「みらい」による2020/2021年のSAS航海計画を紹介する。