日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG40] 陸域生態系の物質循環

2018年5月24日(木) 13:45 〜 15:15 106 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野、共同)、平田 竜一(国立環境研究所)、座長:加藤 知道(北海道大学)

14:45 〜 15:15

[ACG40-11] 東アジア地域におけるメタン収支の統合的評価に向けて

★招待講演

*伊藤 昭彦1,2 (1.国立環境研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:気候変動、温室効果ガス、陸域生態系、人為起源排出

地球温暖化の原因物質(温室効果ガス)としてメタンは二酸化炭素に次ぐ寄与を持っており、そのグローバルな収支において東アジアは重要な役割を果たしていると考えられる。この地域には広大な水田が分布し大きなソースとなっているだけでなく、石炭などの化石燃料採掘、廃棄物の埋立、家畜飼育などの人為排出源が存在している。そのため、生物地球化学的なモデルや観測研究のみでは収支の全容を明らかにすることは困難であり、各種の統計やインベントリを用いた統合的な評価を行う必要がある。演者らは環境省推進費により3年間のプロジェクトとして「メタンの合理的排出削減に資する東アジアの起源別収支監視と評価システムの構築」を実施している。そこでは、生物地球化学的モデルを用いた湿原等からの放出および乾燥土壌での吸収の推定、インベントリ分析による人為起源排出の評価、大気中のメタン濃度および同位体比観測による排出源分離、さらに地球システムモデルを用いたメタンの気候フィードバック評価を行う計画である。複数の手法による推定結果を比較検証することで、単独手法よりも偏りが少なく信頼性の高い評価が可能と期待される。ここで得られた地域スケールメタン収支は、衛星観測による収支評価に寄与し、各種の国際プログラムに貢献することが期待される。