日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG45] 気候変動への適応とその社会実装

2018年5月21日(月) 09:00 〜 10:30 301B (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、渡辺 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、大楽 浩司(防災科学技術研究所)、座長:石川 洋一(海洋研究開発機構)、渡辺 真吾(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(防災科学技術研究所)

09:15 〜 09:30

[ACG45-02] 高解像RCM実験の情報を用いたハイブリッドダウンスケーリングと降雨流出氾濫モデルによる河川水位の評価

*若月 泰孝1,2中村 要介3,4阿部 紫織3 (1.国立大学法人茨城大学、2.海洋研究開発機構、3.三井共同建設コンサルタント株式会社、4.土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター)

キーワード:ダウンスケーリング、領域気候モデル、降雨流出氾濫モデル

軽い計算コストで実施できる統計的ダウンスケーリング(DS)やバイアス補正は、領域気候変化予測の不確実性を評価するためには必要不可欠である。一方で、1~2km程度の格子間隔での高解像RCMによる力学的DSは、計算負荷が大きいために数多く実施するのは極めて困難だが、観測情報の乏しい地域を含めて、気温や降水量などの気候学的特性を合理的に表現できる。この数少ない高解像RCMの情報を低解像RCMの空間内挿(HI)に使い、RCMだけでつくられた高解像の分布構造を生かしたバイアス補正(BC)を施す手法が開発された。これらは降水量と気温の統計量に対して施されるものであり、高解像RCMの情報を用いた統計的ダウンスケーリングに属するが、ここではハイブリッドDSという。なお、BCでは、温度の補正差や降水量の補正比に対する一般化線形モデルが、位置情報などを説明変数として適用される。

このハイブリッドDSは24km-6km-2km解像度のRCM実験に適用された。疑似温暖化手法を発展させた気候差分ダウンスケーリング法で計算されたもので、特徴の異なる複数のパターンの気候差分が上乗せされて、複数の将来気候実験が実施されているが、2km解像度の実験はごく少数しか実施できていない。2km解像度実験の情報を用いたハイブリッドDSは、不確実性をカバーするために実施された複数の低解像RCM実験結果に適用された。
さらに、この実験結果から得られる降水量データを用いて、関東を流れる鬼怒川・小貝川流域での降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)実験を実施した。RRIモデルでは、ダム調整効果が考慮されている。さらに、河川断面データを用いることで河川水位を計算できる。ただし、断面データなどには現実との不整合性なども含まれているため、低水のバイアス補正も適用した。その結果、危険レベル水位の頻度などを比較的良好に表現することができた。