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[AHW20-06] 秋田県・田沢湖における水質と循環の歴史的変遷
キーワード:田沢湖、酸性温泉水、地球温暖化、一回循環、部分循環
秋田県・田沢湖では,1940年1月20日から開始された玉川河川水(pH=1-2の玉川温泉水を含む)の取水により,生息していた陸封型のクニマスが死滅した。この発表では,20世紀初頭から続く調査研究をレビューし,田沢湖における水質と循環形態の歴史的変遷を議論する。玉川河川水の導入で,田沢湖のpHは6.7から4.2へと低下した。1991年4月に玉川温泉水に対する中和処理装置の稼働が開始され,田沢湖の現在のpHは5.2 – 5.6とやや回復傾向にある。田沢湖は,20世紀までは年最低の湖面水温が2℃程度で2回循環湖であった。しかし,地球温暖化により気温は0.028 ℃/yearで上昇しており,現在の最低水温は4 ℃程度である。このことから,現在はほぼ1回循環湖の状態となっており,このまま温暖化が進めば,将来は部分循環湖になる可能性がある。この循環形態の変化は,底層に低酸素水塊を形成させ,生態系にとって深刻な影響をもたらすことが考えられる。