日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW20] 流域の物質輸送と栄養塩循環-人間活動および気候変動の影響-

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:齋藤 光代(岡山大学大学院環境生命科学研究科)、小野寺 真一(広島大学大学院総合科学研究科)、細野 高啓(熊本大学大学院先導機構、共同)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)

[AHW20-P16] インドラマユ沿岸域における地下水の酸化還元状態の予察的研究

*井岡 聖一郎1小野寺 真一2齋藤 光代3Rusydi Anna4,5 (1.弘前大学北日本新エネルギー研究所、2.広島大学、3.岡山大学、4.広島大学大学院総合科学研究科、5.Research Center for Geotechnology, Indonesian Institute of Sciences (LIPI))

キーワード:沿岸域、地下水、酸化還元状態、硫酸還元

地下水の酸化還元状態は,地下水の流動過程において水–鉱物–有機物–微生物の相互作用によって決まり,水質形成に重要な役割を果たしているが,そこに人為的な影響が加わるとさらに酸化還元状態は変化する。例えば,地中熱利用等による地下環境の温度場の変化によっても酸化還元状態は変化すると報告されている。近年,地下温度と大気温度との差が小さい熱帯地域においても地中熱による冷房が省エネ技術として有効であることが報告されている。今後,地中熱による冷房利用が普及拡大すれば地下環境の温度上昇が予想され,熱帯地域における地下水の水質保全の観点から酸化還元状態を評価しておくことは重要であると考える。そこで,本研究ではインドネシアのインドラマユ沿岸域を対象にして,地下水の酸化還元状態の評価を試みた。
 Cl⁄Br比の結果から,海水の侵入による地下水の塩水化が進行していることが示唆された。海水のCl-濃度を19500ppm,海水の影響を受けていない地下水のCl-濃度を16ppmとして海水の地下水への混合率を評価した結果,最大で約62%であった。次に,その混合率を用いて海水の影響を受けている地下水のSO42-濃度を計算し,SO42-濃度の実測値と比較した結果,実測値が計算値より高いあるいは低い地下水が存在することが明らかになった。実測値が計算値より高い場合は,海水との混合により供給されたSO42-の硫酸還元反応による減少過程はなく,一方,計算値より低い場合は,硫酸還元反応が起きた可能性が考えられる。そこで,このSO42-濃度の実測値が計算値より高いあるいは低い事象との関係要因について解析を行った。その結果,地下水のDOC,FeやMn濃度とは関係がなく,採取井戸の深度で明瞭に分かれることが明らかになった。すなわち,深度20m以浅では実測値が計算値より高く硫酸還元反応は進行せず,それ以深では低い値を示し硫酸還元反応が進行した可能性がある。今後,SO42-濃度の計算値と実測値の不一致について,本地域の地質条件を含めさらに検討を進めていく必要がある。