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[AHW24-06] 熊本地震によって生じた地下水位変化の数理モデリング
キーワード:熊本地震、数理モデリング、地下水位変化、GETFLOWS
2016年4月14日21時26分に前震が、4月16日1時25分に本震が発生した熊本地震の前後で、約100本から成る地下水位モニタリングネットワークによって、明らかな地下水位変化が確認されている。震源に近い熊本平野周辺では、地下水位がほぼ瞬間的に低下したと推定され、その後、徐々に上昇する傾向が確認された。巨大地震に伴う地下水位低下メカニズムについては、まだ解明されていない点が多く、それを対象としたモデリング検討事例は非常に限定的である。本稿では、この地下水位変動に対して、地震によって生じた深部にまで達する亀裂によって、瞬間的な地下水位の低下(地下水の飲み込み)が起こり、その後の地下水位上昇を引き起こしたというメカニズムを推定し、地表面で確認された亀裂を3次元地下水流動モデルに組み込むことで、地震後の地下水位変化の再現シミュレーションを行った。この3次元地下水流動モデルは、実測された河川流量や地下水位、3Hやδ18O、85Kr、硝酸性窒素、温度等の水質といった、多点の時間変化データとの比較を通じて検証されたものである。本モデリング検討には、地圏流体シミュレータGETFLOWSを適用した。このメカニズムを組み込んだモデル化手法によって、現地で確認されている地下水位変化を概ね再現できる見通しを得ることができた。また、確認された地下水位変化データとの比較を通じて、地震によって生じた亀裂の深度分布を推定した。なお、本研究は「サントリー熊本地下水みらいプロジェクト」の補助を受けたものである。