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[AHW25-02] 阪神地域における”赤水”湧水の分布:断層との関連について
キーワード:赤水、湧水、断層
我々は2003年から阪神地域において,河川,水路等に現れる”赤水”の目視調査および水質調査を行っており,その分布の概要がわかってきたので報告する.”赤水”湧出の特徴として,比較的標高の高い六甲山麓部にも存在し,一部のものは石垣等から染み出している.これらは,ほぼすべて重炭酸型であり,pHが6-7の弱酸性のものが多くCO2が溶解していることを示唆する.”赤水”が赤褐色~オレンジ色を呈する理由は,湧き出し口でリモナイト(FeOOH)が沈殿することによる.この鉄は,地下水中にCO2があった場合に,岩石・鉱物が風化することにより地下水に溶解する.そして,浅所で酸化することにより赤褐色からオレンジ色を生じる.阪神地域では,地下から断層を通じて上昇する有馬型熱水が浅所でCO2を遊離し,気泡となったCO2が上昇し,浅層地下水を炭酸化すると考えられている.したがって,”赤水”の分布域は,有馬型熱水の上昇域に関連していると考えられる.”赤水”の分布が地下に伏在する断層と関連があるかどうか検討をおこなった.その結果,六甲,宝塚,須磨,仮屋沖(延長),芦屋,甲陽,西宮,伊丹の各断層と昆陽池陥没帯に関連づけられる”赤水”が存在していることがわかった.また,断層が存在していても赤水がほぼ見られない地域もあった.講演では,”赤水”調査の概要,産状を紹介し,詳細な分布・特徴について議論したい.