日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW25] 同位体水文学 2018

2018年5月23日(水) 09:00 〜 10:30 301B (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、座長:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、風早 康平(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門深部流体研究グループ)

10:00 〜 10:15

[AHW25-04] 山梨県の温泉水の形成に関する水質化学的検討

*橋本 佳樹1中村 高志1米山 由紀風間 ふたば1西田 継1 (1.山梨大学大学院)

キーワード:温泉、山梨県、安定同位体、水質組成

わが国は豊富な温泉資源に恵まれている。温泉水の温度や湧出量の変化を議論するためには、水の起源や成り立ちを把握することが重要である。本研究では、山梨県で2007年と2012年に300地点以上で行われた温泉資源調査の結果を用いて、温泉水の起源と熱源を明らかにし、それらの空間分布の把握を試みた。水の起源として天水起源と海水起源を、熱源として非火山性の地熱、火山性の地熱(マグマ)、スラブ(マントル)を想定した。水の起源の解析には塩化物イオンを、熱源の解析にはリチウムイオンと水の安定同位体比を用いた。2年分の全てのデータを整理した結果、水温と湧出量の空間的な分布には特定の傾向は見られなかった。一方、水質トレーサの分析結果から、海水起源の温泉地は山梨県西部に多く分布し、マグマやマントル等の高温の熱源の影響を示す温泉は北西部に集中していることがわかった。この時、高温熱源からもたらされると考えられるリチウムイオンは、西部を貫く断層群の近くで検出される傾向が認められた。また、水安定同位体比の結果から、天水起源の地下水、スラブ起源の地下水として知られている有馬型熱水、化石海水等が混合していると考えられた。これらをもとに温泉水の分類を行った結果、上記で想定した水源と熱源の組み合わせで全て説明できた。