日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS12] 陸域海洋相互作用

2018年5月22日(火) 09:00 〜 10:30 106 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001、共同)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、座長:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、Swadhin Behera(海洋研究開発機構)

10:15 〜 10:30

[AOS12-06] 2015年台風18号上陸時における一級水系の最適化計算と淡水流出の日本海洋沿岸域への影響

*黒木 龍介1山敷 庸亮1Varlamov Sergey2宮澤 泰正2Marie-Fanny Racault3Gupta Hoshin4 (1.京都大学大学院 総合生存学館、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構、3.プリマス海洋研究所、4.アリゾナ大学)

キーワード:最適化、淡水流出、海表面塩分濃度分布、クロロフィルa濃度

本研究では2015年台風18号に注目し、2015年9月6日午前0時から同年9月13日午前0時までの一週間を対象期間とした。日本の105の一級水系における5つのパラメータ(土壌の粗度係数、河川の粗度係数、大空隙層の体積含水率、大空隙層の透水係数、流出率)について最適化手法SCE-UA法を用いてパラメータ値を推定し、それらの値をセル分布型流出モデルCDRMV 3.1.1に適用することで、各河川からの高精度の淡水流出計算を行なうことができた。また、日本海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究として海洋沿海域予測可能性実験のモデルJCOPE-Tに淡水流出計算結果を連携させ、海表面における塩分濃度分布と淡水流出の関係を分析した。そして、英国プリマス海洋研究所との共同研究として、衛星画像やJCOPE-Tによる計算結果を用いてクロロフィルa濃度の分布状況なども解析した。クロロフィルaは植物プランクトンに含まれる色素であり、植物プランクトン存在量の指標として用いられているものである。これらの結果より、各水系からの淡水流出と海表面塩分濃度分布、クロロフィルa濃度の関係を示すことができ、対象期間における沿岸域での淡水分布とその影響が明らかになった。沿岸域の淡水の領域やクロロフィルaの分布は沿岸域における漁場や生態系にも大きな影響を与えうるものであり、今後台風の規模に応じてどの程度の範囲において淡水流出の影響が出るのかなどの影響予測に本研究を社会に役立てられると考えられる。