日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS12] 陸域海洋相互作用

2018年5月22日(火) 10:45 〜 12:15 106 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001、共同)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、座長:升本 順夫佐々木 貴教(京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室)

10:45 〜 11:00

[AOS12-07] 惑星表層水分布を考慮したハビタブルゾーン内側境界

★招待講演

*小玉 貴則1玄田 英典2大石 龍太1阿部 彩子1阿部 豊3 (1.東京大学大学院大気海洋研究所、2.東京工業大学 地球生命研究所、3.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:ハビタブル惑星、系外惑星

近年、観測精度の向上により、多くの系外惑星(太陽系の外側の惑星)が検出され、地球型惑星と考えられる惑星の検出も多く報告されている。液体の水は地球型惑星の気候やハビタビリティにとって、重要な物質であると考えられ、『生命の宿る星はあるのか?』という問題が盛んに議論されている。

 ハビタブルプラネットとは、惑星表面に安定に液体の水を保持できる惑星と考えられ、そのような環境が維持できる恒星からの距離をハビタブルゾーンと名付け、検討されてきた。多くの先行研究では鉛直1次元モデルを用いた推定が盛んに行われ、ハビタブルゾーンの範囲が見積もられてきたが、近年、3次元大気大循環モデルを用いた推定が始まってきている。

 我々は、惑星の表層水分布に注目し、3次元大気大循環モデルを用いて、ハビタブルゾーンの内側境界を検討した。その結果、先行研究で示されている2つの気候レジームを確認した。1つは、低緯度が乾燥していて高緯度が湿潤な陸惑星レジームと呼ばれる気候レジームであり、もう1つは全球的に湿潤な海惑星レジームである。また、この2つの気候レジームは、ハドレー循環の幅により決まっていることがわかった。ハビタブルゾーンの内側境界は、惑星の水分布により、現在の地球が受け取る太陽放射の130%(海惑星の場合)から180%(水の局在化が強い場合)まで連続的に変化することがわかった。我々の結果は、ハビタブルゾーンの内側境界が惑星の表層環境によって変化することを示している。

 発表では、これまでのハビタブルプラネットの検討について紹介し、我々の近年の研究成果を用いながら、惑星の水分布とハビタブルな気候の関係を議論する。