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[AOS17-02] 数値モデルによる東京湾の河口周辺部の流動構造と河川水挙動の解析
キーワード:東京湾、数値モデル、河川プリューム
東京湾では現地観測や数値計算技術を用いた流動構造解明に関する研究が数多く試みられてきた.しかしながら湾奥部の埋め立て地や河口部分を詳細に再現可能な高解像度数値計算技術を用いた流動構造を調査した研究事例は少ない.そこで本研究では,三角形非構造格子を採用した海洋数値モデルSUNTANSを用いて東京湾湾奥の河口付近に注目した流動構造を再現し,解析を行った.流動構造を再現するために,河川水(隅田川,荒川,中川,江戸川),潮汐(主要4分潮)並びに風応力を境界条件外力として与え2011年4月の1ヶ月間を計算解析期間とした.モデルによる計算値を観測値と比較し検証した結果,検潮所において観測された潮位変動及び,HFレーダーにより観測された表層流速を再現していた.東京湾内の表層における時間平均流動構造は,湾奥北部では西岸から東岸に沿う流れが発生していた.一方,河口から離れた海域では卓越する南風により河口に向かう北向きの流れが発生していた.時間及び鉛直平均した場合の流動場は湾央部で東岸から西岸に向かう収束流が発生していた.この収束流は表層の南へ向かう河川水と北向きの吹送流が収束し下層へ沈み込み,低層において西向き(湾口向き)の流れが発生したと考えられる.また,南から強い風が吹く時には,淡水が東岸に沿って沖合に輸送されることがわかった.潮汐と風による流動場への影響を比較した結果,河川・河口部,湾西岸部においては潮汐が支配的となっており,湾東岸部においては吹送流が支配的であった.また,江戸川河口堰による影響を評価するために河口堰がある場合とない場合の2ケースの計算を比較した.江戸川河口堰の影響により,江戸川からの流れ込む河川水が旧江戸川へと流れ込む事で,荒川河口での河川流量が増大した.河口堰を設けることで江戸川の河口付近で海水の割合が増加していることに加え,荒川の河口付近にも広く影響しており,荒川河口周辺の広い範囲で淡水の割合が増加していることがわかった.その影響は河口より5km程度の海域で顕著に表れていた.