[AOS17-P06] 海洋微生物の働きと潮汐差を利用した持続可能で深層部海水浄化可能な海水浄化岸壁と杭の模型実験
キーワード:海水浄化、礫間接触酸化
1.はじめに
現在、地中海など世界中で海洋環境の悪化が懸念されており、日本近海(渤海・黄海・東シナ海・日本海)でも水質汚濁が進行していると報告されている。本件級は閉鎖性海域内の水質改善のために、潮汐差という自然エネルギーを利用するのでエネルギーを浪費しない、また海洋微生物が有機物を分解する働きを利用するので「自然に学んだ」海水浄化機能を持ち、同時に深層部の海水も浄化可能であるという新しい海水浄化岸壁・杭に関する実験的研究である。今ある世界中のたくさんの岸壁が本研究で提唱する海水浄化岸壁・杭に改修されれば百年、千年先まできれいな海を後世に遺すことが可能となる。
2.本装置の特徴
本海水浄化岸壁・杭は
(1)潮汐という自然のエネルギーを利用している
(2)海洋微生物の有機物分解という働きを利用している
(3)潮汐差が少ない海岸でも適用可能である
(4)深層部の海水浄化も可能である
(5)通水口にはごみ等がつまらないように工夫されている
といった長所がある。問題点としては
(1)通水口に貝類などが付着したときの対処
などが考えられる。
3.実験方法
図-1、2、3に海水浄化岸壁、円柱杭を利用した透過型防波堤、円柱杭に海水浄化装置を組み込んだ海水浄化杭を示している。本装置には上部通水口と下部通水口の二つがあり、これらにはフラップタイプのゲートが取り付けられている。ゲートの取り付け位置が内部側か外部側かによって潮汐による水圧さよってゲートが開く方向が逆になる。その違いにより、潮汐差による海水の移動が岸壁・杭内を上向きに移動するか、下向きに移動するかの違いが生まれてくる構造になっている。岸壁・杭の内部には礫層が設置されており、この礫内を潮汐差によって海水が移動する際に礫表面に生息する微生物が海水内の有機物を分解する働きを利用している。
潮汐により、閉鎖性湾内で浄化された海水は潮汐流により他の場所に運ばれる。これが毎日続く結果、閉鎖性湾内の海水が徐々に浄化されていく。
このような海水浄化システムを模型実験(水槽の大きさ:45cmW×120cmL×50cmH)で再現し、COD、DO、水温などを計測することにより海水浄化効果とDO、水温などとの関係を調べた。潮汐差はモーターを使用してフロートを上げ下げすることで水位(模型潮汐差:4cm)を上下させ、連続2週間の実験を可能にしている。使用礫材は平均粒径20mmの礫を使用し、礫層厚さは水位差と同じ4cmを標準としている。CODはJISK0102にしたがって測定している。
4.実験結果と考察
冬場と夏場に実験を実施し、両方の場合においてCODを低下させることが確認できた。使用する礫材はあらかじめ海水中に約1ヶ月間浸水させた礫と感想礫を使用したケースで実施させ違いを調べた結果、どちらもほぼ同じ程度のCOD低下効果が認められた。
上向き浄化と下向き浄化ともにCODを現象させることもわかった。したがって、深層部の海水を岸壁・杭内に取りこむ構造の上向き浄化、上層部の海水を取り込み浄化して深層部に放流する下向き浄化ともに海水浄化効果が認められた。深層部の海水が貧酸素状態であっても、下部通水口からとりこまれ、岸壁・杭内部を上昇する間に混合されDO濃度は上がっていくことになり、礫層が存在する中央部では微生物が生きていくに十分な酸素濃度を有しており、微生物の活動は可能となっている。
5.おわりに
実験から以下のことがわかった。
(1)史予する礫材はあらかじめ海水中に浸水させておく必要はないことがわかった。
(2)礫層の位置は微生物が活動できるDO濃度のところに設置させる必要がある。
(3)海水浄化岸壁の浄化範囲は岸壁に沿う範囲となり比較的広い範囲が可能であり、海水浄化杭の浄化範囲は杭周辺の範囲となり比較的狭い範囲の浄化が可能となる。
現在、地中海など世界中で海洋環境の悪化が懸念されており、日本近海(渤海・黄海・東シナ海・日本海)でも水質汚濁が進行していると報告されている。本件級は閉鎖性海域内の水質改善のために、潮汐差という自然エネルギーを利用するのでエネルギーを浪費しない、また海洋微生物が有機物を分解する働きを利用するので「自然に学んだ」海水浄化機能を持ち、同時に深層部の海水も浄化可能であるという新しい海水浄化岸壁・杭に関する実験的研究である。今ある世界中のたくさんの岸壁が本研究で提唱する海水浄化岸壁・杭に改修されれば百年、千年先まできれいな海を後世に遺すことが可能となる。
2.本装置の特徴
本海水浄化岸壁・杭は
(1)潮汐という自然のエネルギーを利用している
(2)海洋微生物の有機物分解という働きを利用している
(3)潮汐差が少ない海岸でも適用可能である
(4)深層部の海水浄化も可能である
(5)通水口にはごみ等がつまらないように工夫されている
といった長所がある。問題点としては
(1)通水口に貝類などが付着したときの対処
などが考えられる。
3.実験方法
図-1、2、3に海水浄化岸壁、円柱杭を利用した透過型防波堤、円柱杭に海水浄化装置を組み込んだ海水浄化杭を示している。本装置には上部通水口と下部通水口の二つがあり、これらにはフラップタイプのゲートが取り付けられている。ゲートの取り付け位置が内部側か外部側かによって潮汐による水圧さよってゲートが開く方向が逆になる。その違いにより、潮汐差による海水の移動が岸壁・杭内を上向きに移動するか、下向きに移動するかの違いが生まれてくる構造になっている。岸壁・杭の内部には礫層が設置されており、この礫内を潮汐差によって海水が移動する際に礫表面に生息する微生物が海水内の有機物を分解する働きを利用している。
潮汐により、閉鎖性湾内で浄化された海水は潮汐流により他の場所に運ばれる。これが毎日続く結果、閉鎖性湾内の海水が徐々に浄化されていく。
このような海水浄化システムを模型実験(水槽の大きさ:45cmW×120cmL×50cmH)で再現し、COD、DO、水温などを計測することにより海水浄化効果とDO、水温などとの関係を調べた。潮汐差はモーターを使用してフロートを上げ下げすることで水位(模型潮汐差:4cm)を上下させ、連続2週間の実験を可能にしている。使用礫材は平均粒径20mmの礫を使用し、礫層厚さは水位差と同じ4cmを標準としている。CODはJISK0102にしたがって測定している。
4.実験結果と考察
冬場と夏場に実験を実施し、両方の場合においてCODを低下させることが確認できた。使用する礫材はあらかじめ海水中に約1ヶ月間浸水させた礫と感想礫を使用したケースで実施させ違いを調べた結果、どちらもほぼ同じ程度のCOD低下効果が認められた。
上向き浄化と下向き浄化ともにCODを現象させることもわかった。したがって、深層部の海水を岸壁・杭内に取りこむ構造の上向き浄化、上層部の海水を取り込み浄化して深層部に放流する下向き浄化ともに海水浄化効果が認められた。深層部の海水が貧酸素状態であっても、下部通水口からとりこまれ、岸壁・杭内部を上昇する間に混合されDO濃度は上がっていくことになり、礫層が存在する中央部では微生物が生きていくに十分な酸素濃度を有しており、微生物の活動は可能となっている。
5.おわりに
実験から以下のことがわかった。
(1)史予する礫材はあらかじめ海水中に浸水させておく必要はないことがわかった。
(2)礫層の位置は微生物が活動できるDO濃度のところに設置させる必要がある。
(3)海水浄化岸壁の浄化範囲は岸壁に沿う範囲となり比較的広い範囲が可能であり、海水浄化杭の浄化範囲は杭周辺の範囲となり比較的狭い範囲の浄化が可能となる。