日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG09] 地球史解読:冥王代から現代まで

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 コンベンションホールB(CH-B) (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、加藤 泰浩(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源研究開発センター)、座長:小宮 剛

16:45 〜 17:00

[BCG09-06] 冥王代砕屑性ジルコン中の固相および流体包有物

*山本 伸次1田中 大貴1 (1.横浜国立大学大学院環境情報研究院)

キーワード:冥王代、初期地球、ジルコン、流体包有物

初期地球環境はハビタブルな地球を形づくる重要な時代であるが、約40億年前より古い地球岩石は残存しないため、地球科学における暗黒の時代とされる。これまでに、西オーストラリア・ジャックヒルズに産する変礫岩からは、約30-44億年前のU-Pb 年代を示す砕屑性ジルコンが報告されており(e.g. Valley et al., 2014)、それらジルコン中には石英や長石類、雲母などの包有物が存在することから、珪長質な初期地殻の存在が示唆されている(e.g. Hopkins et al., 2008)。本発表では、43.4億年の年代を示す砕屑性ジルコン中に初生的流体包有物を見出したのでこれについて報告する。流体包有物は数ミクロンサイズで散在的に43.4億年ジルコンのコア部に存在し、顕微ラマン分析ではCH4およびH2Oの微弱なシグナルが検出された。コア部には他に石英およびカリ長石が存在することから、このジルコンコア部は珪長質な親マグマから晶出したと考えられる。すなわち、これら流体包有物を含む43.4億年の砕屑性ジルコンは含水(珪長質)マグマ起源であり、また、結晶成長時に周囲のマグマ水を捕獲したものと推定される。したがって、この冥王代ジルコン中の固相および流体包有物は、冥王代地球における原初的珪長質地殻および海洋の存在、ならびに水の起源について重要な知見をもたらすと期待される。