日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC28] 雪氷学

2018年5月23日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:縫村 崇行(千葉科学大学)、石川 守(北海道大学)、舘山 一孝(国立大学法人 北見工業大学、共同)、永井 裕人(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)

[ACC28-P03] 2017年8月4日に発生したラダック山脈,アチナータン村上流の氷河湖決壊洪水

*早乙女 真穂1奈良間 千之2田殿 武雄3 (1.新潟大学大学院自然科学研究科環境科学専攻、2.新潟大学理学部、3.JAXA)

キーワード:氷河湖、氷河湖決壊洪水、衛星画像解析

近年の地球温暖化による氷河縮小に伴い現在の氷河湖は拡大傾向にある.特にヒマラヤ山脈東部地域において,氷河湖は1960年代以降に急速に拡大しており(Ageta et al., 2000),1980年代以降に氷河湖決壊洪水(GLOF)による被害が報告されている(Yamada and Sharma, 1993; Komori et al., 2012).これまでは過去に生じた災害の規模や巨大な氷河湖の分布から,ヒマラヤ山脈東部地域の氷河湖が世界的に注目されてきた.しかしヒマラヤ山脈全域をみると,氷河湖の大きさ,出現時期,拡大速度,決壊の要因,GLOFの被害状況は地域によって異なる.本調査地であるヒマラヤ山脈西部地域のインド北西部のラダック山脈では小規模な氷河湖が分布しており,2003年7月にドムカル谷で発生したGLOFにより水車や橋で被害が出ており(奈良間ほか,2012),2011年7月にはラダック山脈の北側に位置するタリス村でGLOFにより約130の家屋破壊が破壊され,農作物にも被害が生じている(OCHA, 2011).この地域では,氷河湖の規模や拡大速度は小さいが,氷河湖と人々の居住地の距離は非常に近く,土地利用も河川沿いに集中するため,小規模な氷河湖でも大きな被害につながるケースがある(奈良間ほか,2011;Ikeda et al., 2016).本研究では,インド北西部のラダック山脈,アチナータン村において2017年8月4日に生じた氷河湖決壊洪水の詳細を報告する.