日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG38] 北極域の科学

2018年5月24日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:津滝 俊(東京大学)、漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター、共同)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)

[ACG38-P11] InSARによる東シベリア永久凍土地帯における森林火災後地盤変動の検出

*柳谷 一輝1古屋 正人2 (1.北海道大学大学院理学院、2.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:InSAR、永久凍土、ALOS2、森林火災

永久凍土地帯における森林火災は、地表面の状態を著しく変化させ、地下に存在する永久凍土の融解、それに伴う地盤変動をもたらす。凍土の融解は、近年の地球温暖化との関係、凍土地帯に暮らす人々やガス・油田開発を進める上でのインフラ整備、という大きく2つの点で関心が寄せられ理解が求められている。永久凍土は熱的に定義されるため、ボアホールによる地温モニタリングが代表的で時間分解能の高いデータを得る観測手法であるが、広域に広がる凍土地帯全てを網羅することは現実的ではない。特にシベリアでは広大な凍土分布面積に対し、国際的なネットワーク(GTN-P)が有するボアホールのデータは極めて少ない。そのため広域観測に特化したリモートセンシング技術は必要不可欠であり、数ある観測手法の中でも合成開口レーダによる地盤変動の観測は、地下深部に存在する永久凍土の状態を高い時空間分解能で間接的に観測することに対し有効である。
本研究ではInSARを用いて、シベリアのバタガイ近郊で2014年~2015年に頻発した森林火災による火災後地盤変動を複数の火災跡地において10 cmにおよぶ変位の検出に成功した。アラスカにおける森林火災のInSAR解析に続く二例目であり、シベリアでは初の検出である。データはALOS2(L-バンド)とSentinel-1(C-バンド)衛星から得られたものを使用した。最初に地盤変動が検出された北緯67度46分東経134度20分の地点では、LandsatとMODISの2つの光学衛星により、2014年7月から8月にかけて火災が起き約37平方kmの範囲(地点A)で焼失による植生の変化が起きたことが確認された。地点AのInSAR画像から、火災が鎮火した2014年8月以降も継続的に地盤変動が検出され、2016年の夏季(7月30日~10月8日)では最大で約10cm、2017年の夏季(7月29日~10月7日)では最大約6cmの衛星視線方向に遠ざかる変位を検出した。また、同様の2014年~2015年に起きた火災による植生変化地域はバタガイ近郊に多数存在し、GoogleEarthを目視で確認するだけで20箇所以上発見された。それらの火災跡地の中から地点Aと同等またはそれ以上の面積をもつ7地点(40~200平方km)に注目し、複数地点で同様にInSAR画像を作成した。ALOS2のデータでは、一部の2014年と2015年のデータペアで運用システム上の問題により干渉できない問題が生じたが、band-pass-filterを用いて低コヒーレンスではあるが干渉させることに成功した。また極域で強いノイズの一つである電離層ノイズには、band-pass-filterを応用したSplit-band法を用いてノイズの除去を試みた。将来的にはInSARによってシベリア他地域の火災後地盤変動の観測、火災後から植生回復に至るまでの地盤変動推移の観測、モデル計算を用いた凍土の層厚変化の推定と共に現場観測データとの比較検討を目指す。